南都銀行はやばいのか｜働く人が抱える給与と将来への不安

変わりゆく銀行業界―「安定」の幻想とは

「銀行員は安定している」そう思われていた時代は、もう過去のものかもしれません。みずほ銀行は、今後10年間で1万9000人の削減を計画しています。三井住友銀行も、店舗統廃合を加速させています。

メガバンクでさえ、この状況です。「大きすぎて潰れない」と言われていた存在が、今、大規模なリストラと店舗削減を進めている。これが意味することは何でしょうか。

地方銀行は、さらに厳しい状況に置かれているかもしれません。メガバンクでさえリストラに踏み切っている時代です。では、地方銀行はどうなっているのか。

特に南都銀行で働く人たちから、ある種の「静かな不安」が聞こえてきます。「給与が増えない」「昇進しても先が見えない」「転勤で家庭が崩壊しそう」「同期が次々と辞めていく」これらの声は、決して「ブラック企業だから」という単純な理由ではありません。むしろ、地方銀行という構造的な課題と、その銀行固有の経営戦略が重なり合った結果なのです。

では、実際のところはどうなのか。南都銀行の内側をのぞいてみましょう。

公式発表718万円の裏側：実際に手にする給与の現実

南都銀行の平均年収は、有価証券報告書に「718万円」と記載されています。聞こえはいいですよね。でも、この数字には大きな落とし穴があります。

これは役職者を含めた平均値。つまり、支店長や部長クラスが平均を大きく引き上げているのです。実際に働く一般職や若手職員の手取りは、まったく別の話。

新卒5年目の一般職で、年収350～400万円。 同年代の友人たちと比べると「かなり少ない」という感覚が、南都銀行で働く人たちの正直な実感です。給与明細を見てみると、新卒3年目まではほぼ横ばい。

基本給が20万円前後で、ここからほとんど上がりません。ボーナスは入社3年目以降、すべての職員が3ヶ月で固定。その先も基本給が伸びゆく気配がない。

つまり、昇進しない限り、給与は事実上停滞する という構図なのです。メガバンクなら同期の大半が課長職を経験します。でも地方銀行では、そもそもそのポストが少ない。

支店長になるまで待つしかない。そしてその待ち時間が、どんどん長くなっているのが実情です。

支店長になるまで給料は上がらない｜昇進枠が急速に消える構図

南都銀行の支店長になると、はじめて「まともな給与」に到達する。ここまでのキャリアパスを見ると、かなり長い。でも、ここで深刻な問題が。

支店長のポスト自体が、急速に減少している のです。2019年、南都銀行は30店舗を事実上閉鎖しました。近隣店舗への統合です。

毎日新聞の報道で明らかになった時、社内は衝撃に包まれました。支店長ポストが30個、消えたのです。その後も矢継ぎ早に店舗統廃合が続き、2024年には95店舗体制へ。

さらに2030年度までの計画を前倒しで実行中です。つまり、支店長になるための椅子が、次々と消えていく状況なのです。2024年4月の人事制度改革で「30代での支店長」が可能になった という触れ込みです。

が、実績はごくわずか。むしろ、昇進枠そのものの縮小が目立ちます。昇進基準は「資格取得」が中心。

営業実績よりも、難関資格の取得が条件。でも、それをクリアしても、ポストがない。若手の飛び級昇格は「聞いたことがない」というのが、現場の声です。

つまり、年功序列という古い枠組みと、椅子がない現実が、同時に存在している 。この矛盾の中で、若手社員は働き続けるしかないのです。

3～5年で必ず転勤、奈良県内の「電車通勤が難しい地域」への配置も

南都銀行で働くということは、転勤とセットです。3～5年のスパンで、必ず異動がある。地理的には、奈良県を中心に、大阪、兵庫、京都の一部。

ただし、その「一部」がクセもの。奈良県内でも、電車通勤が難しい地域への配置がある というのです。ようやく営業ノウハウが身について、顧客関係も構築した。

その矢先に、転勤の内示。職場は変わる、仕事内容も変わる、人間関係もリセット。慣れた頃に、また次の転勤。

この負のループの中で、何が起きるのか。同期が次々と辞めていく のです。特に30代で家庭を持つ人にとって、転勤は人生のターニングポイント。

子どもの学校を考えると、単身赴任は避けたい。家族を連れて行くと、配偶者のキャリアが途絶える。あるいは子どもが高校受験の時期に異動内示が出る。

こうした状況の中で、「この会社にこのまま留まるのか、それとも…」という問いが、心の奥に生まれる。そして、決断する人が後を絶たないのです。メガバンクでも転勤はあります。

でも、東京、大阪、福岡など、大都市の選択肢がある。一方、南都銀行の異動は関西圏内という限定的な枠。その中での転勤の方が、むしろ息苦しいかもしれません。

奈良県の人口減少が営業基盤を蝕む｜県内だけでは成長不可能な現実

ここからが、南都銀行が直面する構造的な課題です。営業エリアの約60%が奈良県。そして奈良県は、日本有数の人口減少地域です。

2000年からの減少率は深刻。若年女性の県外流出も続いています。南都銀行は奈良県内での圧倒的地位があります。

預金・融資シェアは約50～60%。メインバンク比率も約6割。つまり、県内では「南都銀行がないと成り立たない」という状況が、実際に存在しているのです。

でも、その県の市場そのものが、縮小している。奈良県の主力産業は農業、観光、林業。製造業の拠点も少ない。

中小企業の経営難が続く中で、新規の融資ニーズは限定的。事業承継の相談は増えていますが、その多くは「畳む」という判断なのです。2019年、南都銀行は野心的な経営計画を掲げました。

「2026年度に奈良県実質総生産を2016年度比1割増の3.9兆円にする」 という目標です。ですが、現実は違う方向へ向かっています。県の人口は減り続け、事業所数も減少。

この目標の実現可能性を、銀行内部でも信じている人は少ないのではないか。そんな空気が、組織全体に漂っているのです。利ざや縮小、マイナス金利の影響、預金・融資からの資金利益が得られない状態。

この状況下では、銀行の基本的なビジネスモデルそのものが成り立たなくなっているのです。

「古い体質」と「デジタル化」のギャップ｜組織文化が変革に追いついていない

南都銀行の社内評価を見ると、一貫して低い項目があります。「イノベーション」「経営層の leadership」「組織の成長性」スコアは2.5～2.6という低さです。表向きは、南都銀行は「デジタル化に積極的」とアナウンスしています。

営業店端末全廃という、銀行業界では「日本初」の試みまで始めました。窓口での書類手続きや現金の手渡しを大幅削減し、営業店事務を30%削減する計画。でも、組織の内部はどうか。

年功序列が根強く残り、数字至上主義、体育会系、トップダウン型 という古い体質が、変革の足を引っ張っている のです。営業成績至上主義。成績が良い人間には、どんどんノルマが増える。

一方、成績が悪い人間への風当たりは強い。そして、その「営業成績」の中身は何か。時に顧客本位ではなく、銀行の利益優先、ノルマ達成優先という構図 になっているという声も聞かれます。

年功序列が残る中で、若手の昇給は限定的。でも、営業ノルマは容赦なく課される。この矛盾の中で、「倫理的な問題も成績優先される懸念」という表現で、現場の葛藤が表れているのです。

デジタル化という名の経営改革と、古い組織文化との衝突。この違和感が、働く人たちの疲弊を加速させている可能性は高いのです。

「安定」の実態は安定していない｜地銀の構造的危機が若手を蝕む

南都銀行の業績を追ってみると、その脆さが見えてきます。2025年3月期、南都銀行は純利益見込みを下方修正しました。66%の減益。

外債の含み損処理が原因です。単なる「市場変動の影響」ではなく、経営判断の誤りが顕在化した形です。営業収益の構造を見ると、「利ざや低下」「手数料収入の伸び悩み」という、銀行業界全体の課題に加えて、地方銀行特有の重圧があります。

奈良県という限定的な市場での競争力では、利益源の多様化が困難なのです。そして、この経営危機の先にあるのが、経営統合の噂 です。「独立を維持できるのか」という根本的な問いが、絶えず浮上しているのです。

業界全体で地銀再編圧力は高まっています。「このままでは生き残れない」という危機感が、経営層にはあるはずです。でも、従業員層には、その危機感が「希望」と「不安」の混在で伝わっているのではないか。

そして、若手から優秀な人材が辞めていく。その理由は、給与の低さや昇進枠の狭さだけではなく、「この組織の未来に、本気で期待できるのか」という根本的な不安なのです。負のスパイラルが始まっています。

給与が増えない→若手離職→組織の高齢化→イノベーション低下→競争力低下→さらに給与が増えない。このループの中で、南都銀行は今、置かれているのです。

南都銀行で働くことは「やばい」のか｜ただし、見直すきっかけには十分な理由がある

南都銀行が「やばい」わけではありません。上場企業であり、奈良県での圧倒的な地位は揺るがない。福利厚生も整備されており、残業も少ないとされています。

でも、「このままでいいのか？」という問いは、必ず浮かぶはずです。給与は増えない、昇進枠は消える、転勤は避けられない、市場は縮小する、組織文化は古い。こうした条件の中で、「20年後、自分は何を得ているだろうか」と考えた時に、答えが見えない。

それが、この銀行で働く人たちの実感なのです。もし今、南都銀行で働いているのなら。あるいは、応募を検討しているのなら。

この事実と向き合うことは、重要です。自分の働き方を見直すきっかけが、ここにあります。

では、どうすればいいのか？

銀行一筋は大きなリスクを伴う時代です。収入源を多様化することが重要。でも、「どうやっていいのか分からない」AI副業とか聞くけど、具体的に何をすればいいのか。

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