変わりゆく銀行業界―「安定」の幻想とは
「銀行員は安定している」そう思われていた時代は、もう過去のものかもしれません。みずほ銀行は、今後10年間で1万9000人の削減を計画しています。三井住友銀行も、店舗統廃合を加速させています。
メガバンクでさえ、この状況です。「大きすぎて潰れない」と言われていた存在が、今、大規模なリストラと店舗削減を進めている。これが意味することは何でしょうか。
地方銀行は、さらに厳しい状況に置かれているかもしれません。
「千葉県内集中」が命取り?2040年の人口減少に備えない地銀の危機感
千葉興業銀行で働く人の多くは、「地元に根ざした仕事」という安心感を持って入社している。事実、営業エリアの大半は千葉県内。顧客の顔が見える、長期的な関係が築ける。
そうした地域密着の価値は、確かに存在する。ただし、その「地元」が、今、変わり始めている。千葉県の人口動態を見ると、全国平均より減少は緩いとされてきた。
しかし、2040年時点での推計では、確実に人口減少局面に入る。高齢化率も全国平均と同程度の28~29%に達し、地方部ではさらに進行中だ。若年女性の東京への流出も続く傾向にあり、営業エリアの購買力そのものが縮小していく構図は避けられない。
貸出先も同じ問題に直面している。千葉興業銀行の融資は県内中小企業が中心。製造業・卸売業・建設業といった産業に依存しているが、これらの産業も人口減少の影響を避けられない。
大企業は少なく、新興産業やIT産業に乏しい地域経済の構造は、成長余地が限定的だ。そして融資先企業が苦しくなれば、銀行の不良債権化リスクも高まる。
なぜ千葉興業銀行は営業エリア戦略で後手に回ったのか
経営統合の発表は2025年9月。千葉銀行が筆頭株主化し、2027年4月の統合を予定している。だが、この決断は「戦略的な選択」というより、むしろ「避けられない現実への対応」に見える。
県内3行体制(千葉銀行が首位、京葉銀行が2位、千葉興業銀行が3位)の中で、千葉興業銀行は常に3番手としての戦いを強いられてきた。規模で圧倒的に劣り、知名度でも千葉銀行と混同されることが多い。メガバンクに奪われる東京圏の顧客。
人口減少による融資機会の縮小。利鞘が圧縮される低金利環境。これらに対抗する手段を、この銀行は持たなかった。
デジタル化やネット銀行の台頭も、独立系の中堅地銀には重い課題だ。ネット銀行との比較で「頑張ってもかなわない」という従業員の口コミも出ている。独自の商品競争力を持たぬまま、市場の変化に対応することの難しさが、ここに現れている。
貸出先の中小企業も同じ問題を抱えている
重要なのは、この危機が銀行だけの問題ではないということだ。融資先の中小企業も、人口減少・需要減少の中で経営を続けている。銀行が企業に求める返済能力も、年々落ちやすくなっている。
不良債権の増加リスクは、銀行側の経営を圧迫する。つまり、営業エリアの人口減少と産業構造の問題は、銀行と顧客企業が共に抱える構造的な課題なのだ。この負のループから抜け出す独自の戦略を、千葉興業銀行は示すことができなかった。
その結果が、経営統合という選択肢につながった可能性が高い。
公式発表630万円vs実態440万円——給与の「二つの顔」が示す構造的問題
千葉興業銀行の有価証券報告書には「平均年収630万円」と記載されている。一見、堅実な給与水準に思える。だが、社員口コミサイト(OpenWork)に記載された実際の平均年収は、440万円~450万円。
その差は190万円近い。この乖離は何を意味するのか。理由は至ってシンプルだ。
公式発表の平均は役員・管理職を含めた計算。実際には、若手層と中堅層が大多数を占める組織構成になっているからだ。つまり、組織の大部分を占める若手は、公式発表の平均よりも大幅に低い給与で働いているという現実がここにある。
さらに考察を進めると、同規模の地銀(群馬銀行など)との比較では、千葉興業銀行の給与水準は100万円以上低い傾向が見られる。新卒2年目から、千葉銀行との給与差も顕著になる。すなわち、同じ千葉県内で働く銀行員でも、どの銀行を選ぶかで生涯年収が大きく異なる構図が生まれているのだ。
給与以外の待遇面も見ると、ボーナスは年2ヶ月~4ヶ月程度。他行と比較すると低めだ。昇給も年功序列で、役職に就くまではほぼ変わらない。
年間の実績がいくら優れていても、歩合給が上乗せされることもない。言い換えれば、成果が直接、給与に反映されない仕組みになっているのだ。
若手の3割は3年未満で辞める理由
この構造の中で何が起きているのか。採用データから見ると、入社100名程度に対して、3年未満で3割程度が退職する。さらに推計では、5~6年で6割程度が退職するという推移も報告されている。
これは「序列重視の人事制度と実績の乖離」「給与の低さ」「将来性への不安」が、若手の離職を加速させている証拠だ。具体的な離職理由を見ると、「20代後半で課長代理になったが、その先が見えない」「同期がどんどん減る中で、自分へのノルマと担当先が増える」「業務が多忙な割に給料が少ない」といった声が上がっている。つまり、昇進しても給与上昇は限定的で、その後の出世ルートは詰まっている。
努力が報われる感覚を持ちにくい環境が、ここに形成されているのだ。給与面だけでなく、時給換算という視点で見ると事態はより明確になる。月間平均残業時間17.9時間という公式発表がある一方で、朝8時過ぎの出勤で対応している実態もある。
実際の労働時間と給与のバランスを考えると、割に合わない働き方という印象は拭えない。物価が上昇する中で、給与が伸びず、昇進も遅い。その環境で「安定」と言い張ることができるだろうか。
ノルマは増え、人は減る——千葉銀行統合前夜の「負のスパイラル」
千葉興業銀行で働く営業職に課せられるノルマは、単純ではない。定期預金、投資信託、保険、カード、年金、手数料。複数の項目にわたる目標設定が存在する。
達成しないと支店内での監視が厳しくなり、上司からの指導も強まる。営業意識が求められ、その一方で顧客満足度とのジレンマも生まれている。ノルマ達成のための営業が粗雑になる懸念も、複数の口コミで指摘されている。
「手数料ビジネスに傾斜しており、銀行業界全体として先行き不透明」という声さえ上がっている。利鞘が圧縮される低金利環境の中で、銀行が手数料に頼る戦略になる。その結果、売上目標は厳しくなり、営業の質は落ちやすくなる。
この悪循環は、銀行全体の経営課題でもあり、個々の営業職の負担でもあるのだ。そこに、人員削減圧力が加わっている。統合発表前後から、自主退職や配転希望が増えている可能性は否定できない。
若手の離職が続けば、支店の人手は当然、不足する。その状況下で、ノルマ数は維持される。あるいは、増えることさえあり得る。
結果として、少ない人数で、より多くの目標を達成しなければならない構図が生まれるのだ。
経営統合で本部機能が集約される時、支店の業務負担だけが残る
統合計画では、千葉銀行本部へ機能が集約される可能性が高い。本部スタッフは削減または配転される。その過程で効率化が進む一方、営業店の業務負担はどうなるのか。
過去の同業他行の統合事例を見ると、3~5年で20~30%の店舗削減が一般的だ。現状、千葉興業銀行は191店舗(千葉県内189店舗、東京2店舗)を運営している。統合が進めば、重複する支店の統廃合は避けられない。
公式発表では「店舗統廃合は予定していない」とされているが、経営統合の本質から考えると、この言葉は限定的だ。支店が削減される場合、そこに勤務していた職員の配転が必要になる。配転先は、条件の良い支店だけではない。
人員が不足している支店への配置も増える。その一方で、経営統合による混乱期には、本部からの指示や制度変更が頻繁に下りてくる。既存の業務に加えて、統合対応の業務も支店に集中する可能性がある。
つまり、「効率化」という名の下で、支店スタッフの負担だけが増し、給与はそのまま、あるいは下がるという状況が、中期的に生じる可能性が高いのだ。有給休暇取得率の高さ(84.6%)や月間平均残業時間の少なさ(17.9時間)が、公式発表として示されている一方で、実感としての「気が休まらない」という口コミも複数出ている。統合前夜の現在、その緊張感はさらに高まる可能性がある。
課長代理で出世が止まる地銀と、昇進枠が詰まる組織——「先が見えない」人事戦略の正体
昇進スピードを見ると、課長代理までが5~6年、課長までが約10年というのが標準だ。同業他社と比較しても、特に遅いわけではない。しかし、ここに隠れた問題がある。
「課長代理が多数いて、先が詰まっている」という口コミが示すのは、組織内でのボトルネックだ。昇進の枠が限定されているのに、若手が一定数入社し続ける。数年ごとのコホート(同期)が積み重なると、ある年次では課長代理が多数存在する層ができてしまう。
その先に上がるポストは限られている。結果として、課長代理のまま数年以上留まる人も多く、その段階での給与上昇も限定的(年50~100万円程度)だ。さらに問題なのは、この状況が固定的になることだ。
人口減少により営業エリアの融資機会が減少すれば、管理職ポストの削減圧力が高まる。新しい昇進枠が増えるのではなく、むしろ減少する可能性さえある。経営統合による組織再編も、ポストの増加ではなく、削減につながる可能性が高い。
人事評価制度も考慮すべき要素だ。年功序列が基本だが、ミスをしたら複数年昇格が遅れるという厳しさも報告されている。つまり、昇進は「時間がたつ=自動昇進」ではなく、常に評価の監視下にあるということだ。
安定と思っていた昇進道が、実は不確実性に満ちている。女性の管理職登用を進める(管理職比24.7%)という組織の試みもある。それ自体は好ましい施策だが、昇進枠が限定的なら、男性・女性を問わず、競争は激化する。
資源が限られた環境では、平等な機会は、結果として「限定的な機会の奪い合い」になりやすいのだ。統合後の人事体系が千葉銀行に統一されることになれば、評価基準や昇進スピードも変わる可能性がある。その過程での配転・再評価も想定される。
つまり、現在のポジションが、統合後に同じ価値を持つとは限らないということだ。課長代理で安心していた者が、統合により配転を命じられたり、ポストが消滅したりする事態も、理論的には起こり得る。組織文化の側面でも、支店による環境格差が大きいという指摘がある。
「良い支店」と「悪い支店」で職場環境が大きく異なり、支店長の方針で働き方が左右されるという。安定と思っていた銀行職でも、配置次第で労働環境が劇的に変わる可能性がある。その不確実性の中で、「先が見える」人事戦略を作ることは、この組織では難しいのだ。
これまで見てきた4つの課題——営業エリアの人口減少、給与と実態のギャップ、統合に伴う負担増加、昇進枠の詰まり。これらは独立した問題ではなく、相互に作用している。人口減少による融資機会の縮小は、銀行の成長機会を奪い、結果として昇進枠の拡大を難しくする。
給与が上がらなければ優秀な人材は他行へ流出し、組織の競争力が落ちる。統合による効率化は、表面的には整理整頓に見えても、支店現場の人手不足と負担増加をもたらす。「安定」という理由で銀行を選んだ人たちが、今直面しているのは、その安定が必ずしも永遠ではないという現実だ。
経営統合の発表後、退職者増加が懸念されるという報道もある。それは単なる離職ではなく、働き手たちが「このままでいいのか」という問いに、自分なりの答えを出し始めている証だ。この銀行で働き続けることの価値は、今、問い直されている。
では、どうすればいいのか?
銀行一筋は大きなリスクを伴う時代です。収入源を多様化することが重要。でも、「どうやっていいのか分からない」AI副業とか聞くけど、具体的に何をすればいいのか。
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