変わりゆく銀行業界―「安定」の幻想とは
「銀行員は安定している」そう思われていた時代は、もう過去のものかもしれません。みずほ銀行は、今後10年間で1万9000人の削減を計画しています。三井住友銀行も、店舗統廃合を加速させています。
メガバンクでさえ、この状況です。「大きすぎて潰れない」と言われていた存在が、今、大規模なリストラと店舗削減を進めている。これが意味することは何でしょうか。
地方銀行は、さらに厳しい状況に置かれているかもしれません。
合併から3年、旧第三銀行は本当に「統合完了」したのか|消えたブランドと人員効率化の現実
2021年5月1日。第三銀行は100年近い歴史に幕を下ろし、三重銀行との合併によって三十三銀行へと吸収されました。企業統合というのは、表面的には「経営基盤の強化」「シナジーの創出」と語られます。
その銀行で働く人の側から見ると、どう映るのか。合併から3年が経った今、その意味を冷徹に読み解く必要があります。旧第三銀行で働く人たちの給与明細に、昇進のタイムライン上に、異動辞令の内容に、この統合がどう影響しているのか—それが問題なのです。
合併によって法人としての「第三銀行」は消滅しました。営業エリアの支店も、すべて「三十三銀行」のブランドで統一されています。しかし、組織の統合が完全に終わったのか、その判断は早計です。
むしろ、ブランドが消えた後に始まる、人員の効率化こそが、本当の「統合」だからです。合併から3年。支店統廃合は着々と進み、異動や退職が相次いでいます。
かつての「第三銀行」というポストは消え、昇進枠も圧縮されるなか、その銀行で働く人のポジションは、本当に安定しているのか。ここに、最初の問いが生まれます。
三十三銀行への吸収合併で、キャリアパスは本当に広がったのか
合併前、第三銀行の従業員は1,376人でした。合併後の三十三銀行は2,233人。数字だけを見れば、組織は拡大し、キャリアの可能性も広がったように思えます。
しかし、この人数の増加は、働く人にとってどのような意味を持つのか。二つの銀行が一つになったとき、起こるのは「ポストの奪い合い」です。かつての第三銀行で支店長だった人物と、三重銀行で支店長だった人物が同じテーブルに並ぶとき、両者が同じポストに就くことはできません。
必然的に、どちらかが外されます。昇進試験の難度は上がり、競争相手は倍になります。その銀行で働く中堅層にとって、これは悪いニュースです。
「キャリアパスが広がった」というのは、本社企画室の説明であり、現場の実感とは乖離しています。むしろ、昇進への競争は激化し、ポストそのものが減少する構図 が生まれたのです。かつての第三銀行で部長候補だった人物が、合併後は同じキャリアを歩めない—そういう現実は、誰の目にも見えています。
合併から3年。その銀行で働く人たちの給与テーブルは、統一されたはずです。しかし、昇進スピードは明らかに変わりました。
あるいは、10年後に「その部署に何人の部長ポストがあるのか」という現実が、急速に縮まっていることを、誰もが感じ始めています。
三重県という限定された営業エリアで、給与競争力は保たれるのか|地方銀行の宿命
その銀行で働く人の給与が「稼げない」と判断される理由は、まず営業エリアの制約に行き着きます。三十三銀行は、三重県を中心とした地方金融機関です。かつての第三銀行も、その基盤は三重県にありました。
営業エリアの制限は、単なる地理的な問題ではありません。それは、貸出先となる企業の総数の制限 を意味し、預金者の総数の制限を意味し、最終的には銀行全体の売上高と利益の上限を決めています。三重県の人口は、過去20年で着実に減少しています。
1995年時点での約185万人から、現在は約178万人。さらに、国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2050年時点で三重県の人口は約156万人まで減少することが見込まれています。つまり、営業エリアの市場規模そのものが、今後30年で約15%縮小するということです。
この数字が意味することを、考えてみてください。銀行の売上は顧客資産に連動します。顧客資産が減るなら、銀行の収益も減ります。
収益が減れば、それに応じて人件費も圧縮されます。「給与が上がらない」というのは、経営戦略の結果ではなく、営業エリアの構造的衰退から必然的に導き出された結論なのです。その銀行で働く人の給与競争力を考えるとき、比較対象になるのは、同じ三重県内で競合する他の地銀か、あるいは愛知県の大手銀行です。
しかし、経営規模と営業エリアのサイズが異なれば、給与テーブルも必然的に異なります。同じ「銀行員」というカテゴリでも、東京の大銀行で働く同年代と、三重県の地銀で働く同年代とでは、5年後の年収には大きな差が生まれています。それは、その銀行が「稼げない」からではなく、営業エリアという構造的な制約のもとで、その銀行ができることの限界が決まっているからです。
限定されたエリアで限定された成長率しか実現できない銀行で、給与が大きく上昇することは、構造的に難しい —この現実は、転職市場を見れば一目瞭然です。
百五銀行との競争激化が生む、リストラと配置転換の波
三重県内での地銀競争を考えるとき、無視できない存在が百五銀行です。百五銀行は、三十三銀行よりも営業エリアが広く、経営規模も大きい。同じ三重県を主要営業エリアとしながら、シェアの大きさではリードしている状況が続いています。
合併によって、かつての第三銀行と三重銀行は「百五銀行に対抗する体制」を構築しようとしました。しかし、合併から3年経った現在、その戦略がどれだけ成功しているかは別の問題です。むしろ、競争は激化し、その銀行で働く人の配置転換や人員削減は、着々と進行しているのです。
支店統廃合の実績は、その銀行の経営効率化の証です。しかし、その背景では、ポストの消滅と、働く人のキャリアの再編が進んでいます。支店が統廃合されれば、その支店長の椅子は消えます。
統廃合先の支店の長は一人だけなので、二人の支店長は一人の支店長にしかなれません。残りの一人は、本部への異動か、他支店への配置転換を強いられます。その銀行で働く人にとって、このリストラと配置転換の波は、何を意味するのか。
安定と思っていたポジションが、急速に失われていく経験です。そして、その圧力は、営業現場にも透けて見えています。ノルマは厳しくなり、達成できない支店は統廃合の対象になりやすくなります。
ノルマを達成しても、支店全体の採算性が低いと判定されれば、統廃合は避けられません。こうした構造のなかで、その銀行で働く人の心理状態は、「安定感」から「不安定感」へと向きを変えています。
1,376人から2,233人へ、統合後に何が起きたのか|人員増加の意味を考える
合併によって、人員数は1,376人から2,233人に増えました。約62%の増加です。この数字だけを見れば、組織の拡大は明らかです。
しかし、その内訳を見ると、異なる全体像が浮かび上がります。人員増加の大部分は、三重銀行との合併による単純な統計上の増加です。つまり、既存の組織同士が合わさった結果に過ぎません。
重要なのは、合併後、その統合された組織が、どのように「最適化」されていったかという点です。経営統合の一般的なプロセスは、この通りです:統合直後は人員が増える→経営統合の詳細が決まる→重複部門の統廃合が始まる→効率化の名のもとに、人員削減や配置転換が進む。現在、その銀行はこのプロセスの「効率化フェーズ」にあるはずです。
表面的には「2,233人で運営している」と公表されていますが、その実態は、過剰人員の吸収と排出が同時に進行している状態 に他なりません。本部機能の統廃合、営業エリアの重複支店の統廃合、事務部門のシステム統一による人員削減—こうした施策は、すべて「人数は変わらないが、役割が変わる」あるいは「人数は減るが、業務効率は上がる」という公式で正当化されます。その銀行で働く人の側からすると、どうなるのか。
ポストが減るのに、人数は減らない。あるいは、新しいシステムが導入されて、以前より少ない人数で同じ業務をこなすことが求められる。給与は上がらないが、仕事の負荷は増える。
こうした状況は、「働き方改革」の名の下に進行しています。人員増加の数字と、実際の待遇改善は、何ら関連していないのです。むしろ、統合された大きな組織のなかで、働く人の個別の価値は相対的に低下しています。
1,376人の銀行では「この人がいないと成り立たない」という状況があったかもしれません。しかし、2,233人の銀行では、「この人はその他大勢の一人」という扱いになりやすいのです。
店舗統廃合と業務の効率化、あなたの部署は本当に必要とされているのか
合併から3年。その銀行の支店ネットワークは、着実に圧縮されています。合併時の支店数は97店舗。
その後の統廃合により、現在のネットワークはさらに最適化されているはずです。支店統廃合という施策は、経営上は「効率化」と呼ばれます。しかし、現場では何が起きるのか。
不採算支店の閉鎖、重複支店の統廃合、営業エリアの再編—これらのプロセスは、その銀行で働く人の配置や、キャリアの再設計を意味します。ここで、一つの重要な質問を考えておくべきです:あなたの部署は、統合後の新体制では、本当に必要とされているのか。システム統一による業務効率化の波は、事務部門から営業部門へと広がっています。
かつてのように、各支店に経理担当者が複数いる必要がなくなります。勘定系システムの統一により、本部集約で処理できる業務が増えます。営業事務も同様です。
デジタル化と業務プロセスの標準化により、以前ほどの人数を必要としなくなります。こうした流れのなかで、その銀行で働く人の配置は、急速に流動化しています。「異動」という名目で、事実上、役割の喪失に直面させられることもあります。
あるいは、出向という形で、グループ企業へ転籍させられることもあります。ここで気づくべきは、銀行員の雇用は終身雇用という名目で守られていても、その勤務地や職責は、経営判断で自由に変更される権限を銀行側が持っている ということです。給与は保証されるかもしれません。
しかし、キャリアの展開可能性は、日々、縮小しています。10年後、その部署にどれだけのポストが残っているか。それは、誰にも保証されていません。
近畿大手銀行の台頭で、三重県の地盤沈下は避けられない|100年の歴史が守り切れるか
三重県の金融市場には、もう一つ、見逃せない動きがあります。愛知県に本拠を置く近畿圏の大手銀行が、三重県への営業活動を強化しているという点です。これは、その銀行の経営基盤を脅かす、構造的な脅威です。
三重県は、地理的には東海地方に属しながら、経済的には近畿圏との結びつきが強い地域でもあります。特に伊賀地域では、関西への経済依存度が高いのが実情です。こうした地域では、地元の地銀を通じた金融取引よりも、愛知県の大手銀行や、さらには関西の大手銀行を利用する企業が少なくありません。
つまり、三重県の地盤沈下は、その銀行の経営基盤の沈下そのもの なのです。かつての第三銀行が100年近い歴史を通じて築いた地域基盤も、時代とともに相対的な価値を失い始めています。その銀行で働く人が「給与が上がらない」と感じるのは、単なる人事政策の問題ではなく、営業基盤そのものが縮小しているからです。
新規顧客の獲得が難しくなり、既存顧客も大手銀行へのシフトを検討し始めている。こうした状況のなかで、その銀行の収益性は、向上ではなく維持すら難しくなっていきます。合併から3年。
統合の効果が十分に発揮されているとは言いがたい状況のなかで、その銀行は新たな課題に直面しています。三重県という限定されたエリア。営業エリアの人口減少。
近畿大手銀行の台頭。そして、統合に伴う人員効率化の波—これらすべてが、その銀行で働く人のキャリアと待遇に、容赦なく影響を与え続けているのです。この銀行で働くことが「安定」だと言い切れるのか。
その問いは、誰の心にも、静かに、しかし確実に残り始めています。
では、どうすればいいのか?
銀行一筋は大きなリスクを伴う時代です。収入源を多様化することが重要。でも、「どうやっていいのか分からない」AI副業とか聞くけど、具体的に何をすればいいのか。
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