変わりゆく銀行業界―「安定」の幻想とは
「銀行員は安定している」そう思われていた時代は、もう過去のものかもしれません。みずほ銀行は、今後10年間で1万9000人の削減を計画しています。三井住友銀行も、店舗統廃合を加速させています。
メガバンクでさえ、この状況です。「大きすぎて潰れない」と言われていた存在が、今、大規模なリストラと店舗削減を進めている。これが意味することは何でしょうか。
地方銀行は、さらに厳しい状況に置かれているかもしれません。
業界平均より121万円低い年収の罠|「安定」と「貧困」の間で揺らぐキャリア
公式発表565万円の裏側で、実態413万円という現実
長野銀行の平均年収は、有価証券報告書によれば565万円とされています。一見すると、これは中程度の給与水準に思えるかもしれません。ところが、業界平均の686万円と比較すると、121万円も下回っています。
全国の上場地方銀行117社の中では90位という順位です。しかし、より深刻な問題は、この公式発表と実態のギャップにあります。転職サイトの口コミデータを集約すると、長野銀行で働く職員の実際の平均年収は413万円と報告されています。
公式発表565万円に対して、現実は152万円も低いのです。この差は何を意味するのか。年齢や職位による幅が非常に大きいことを示唆しています。
新卒の給与は約300万円。ここから年功序列で上がると思って入行した新入行職は、5年、10年と働いても、想定していた給与水準に到達しない現実に直面することになります。何人ものキャリア中盤の職員が、同じ懸念を口にしています。
「給料だけはいい」という古い評判を信じて入行したものの、実態は想定外だった。給与テーブルが固定的で、昇進しても大幅な昇給につながらない構造になっているのです。
30代で450万円が天井|昇進してもボーナスに反映されない構造
長野銀行の昇進ルートは、比較的明確です。大卒職員であれば、およそ6年目で係長に昇進し、そこでようやく年収450〜500万円程度に到達します。しかし、その先の道は思わしくありません。
課長職への昇進は、支店の規模に大きく左右されると指摘する職員が複数いました。「大きい支店からの職員が昇進するケースが多く、とても公平な人事評価とは思えない」どれだけ個人の成績が優秀でも、配置される支店の規模で昇進可能性が決まってしまう。それが、長野銀行の人事制度の現実です。
さらに注目すべきは、昇進がボーナスに反映されないという構造です。給与表では昇進に伴う基本給の上昇が存在しますが、ボーナスについては異なります。個人の営業成績がいかに優秀であっても、配属される支店全体の達成状況が重視されるため、「どれだけ数字を獲得してもボーナスに全くと言っていいほど反映されない」という声が聞かれます。
要するに、昇進は給与の増加をもたらさず、ボーナスは支店次第。個人の努力が個人の報酬につながらない仕組みになっている。 30代で450万円程度が天井だとすれば、同世代の他業界と比べて、その差は明らかです。
業界平均のボーナスが110万円に対し、長野銀行は91万円。19万円の差は、年間ベースでは非常に大きいものです。給与と同様、ボーナスも業界水準を下回ったままなのです。
月16時間超の残業を「標準」と見なす職場|ノルマ文化が生み出す心身の消耗戦
ノルマが「終わらない」仕組み|半年でリセットされ続ける営業目標
長野銀行で働く営業職が直面する最大の課題は、いわゆる「終わらないノルマ」です。月間平均残業時間16.2時間という統計数字は、業界平均11.7時間を上回っています。ですが、この数字は平均値に過ぎません。
営業店の職員からは、「毎日営業と営業に係る事務を21時〜22時まで」「月20時間程度はある」といった報告が聞かれます。ノルマの対象は、単一ではありません。預金、投信、保険、個人ローン、法人ローン、クレジットカードなど、複数の項目にわたって設定されています。
それぞれに数値目標があり、営業職はこれらすべての達成を求められるのです。より深刻なのは、このノルマが「半年でリセットされ続ける」という構造です。上半期と下半期、合わせて2度の期間に分けて目標が設定される。
上半期を何とか達成しても、次の下半期は0からのスタートです。ノルマが「終わらない」とはこの意味です。一度達成すれば、その先の成長へのステップがあるのではなく、また同じことの繰り返しが始まるのです。
複数の職員が同じフレーズを使っていました。「ノルマが終わらない」この言葉の重さを理解するには、営業現場の心理的負荷を想像する必要があります。毎月、半年ごとに、達成できなかった場合の上司からの指導を避けるため、常に緊張状態にある。
その中で、平時の給与は業界平均より低く、ボーナスも支店全体の成績次第。個人の努力が報われない構造の中で、ノルマだけは容赦なく迫ってくるのです。
パワハラとノルマ圧力で10年以内に6割以上が離職|業界平均の1.7倍という衝撃
長野銀行の離職率は、業界内でも際立って高い水準にあります。10年以内の累積離職率は、男性で60.3%、女性で70.4%と報告されています。これを同業他社と比較すると、金融業全体の平均は男性34.9%、女性48.6%です。
長野銀行の男性離職率は平均の1.7倍を超えており、女性も1.4倍以上に達しています。この数字が示すのは、「出入りが激しい職場」という現実です。10年働き続ける職員が4割に満たないということは、多くの職員が途中で去っていくことを意味します。
新卒で入行しても、30代手前の時点で会社を離れる同期が半数以上存在するということです。退職の背景にある要因として、複数の職員が共通して挙げているのが、パワハラとノルマ圧力の組み合わせです。「何かあるごとに話を振られなぜか怒られる。上司のストレスのはけ口になっていると感じる」「パワハラでメンタルを病む先輩や同期が多かった」これらの声は、長野銀行固有の組織文化の問題を指摘しています。
田舎という地域特性もあります。都市部の大企業であれば、複数の上司に相談することや、部門を異動することで環境を変える選択肢があります。しかし、長野県内の限定的な営業エリアにおいては、人間関係の固定化が強い。
「田舎独特の付き合いがかなりめんどくさい。上司や先輩との馴れ合いが非常に辛い」という訴えは、単なる人間関係の問題ではなく、構造的な問題を反映しています。ノルマ達成できず、上司からの叱責を受け、逃げ場がない田舎での職場環境。この組み合わせが、若手から中堅層の離職を加速させているのです。
給与が低く、ノルマが厳しく、パワハラに晒される環境では、たとえ「安定」といえど、心身の健康を保つことが難しくなる。 それが、1.7倍という離職率の数字に表れているのです。
営業エリア長野県の人口減少は不可逆的|「地元に根ざした銀行」の盲点
シェア8%対53%|ナンバーワン地銀に圧倒される市場構造
長野銀行が営業する長野県内において、市場シェアは約8%に留まっています。一方、八十二銀行のシェアは53%に達しており、実に6倍以上の開きがあります。この差は、単なる競争力の差ではなく、市場内での圧倒的な立場の違いを示しています。
地域内で最大手企業に対して、自社が6分の1程度のシェアしか保有していないという状況は、どのような意味をもつのか。それは、新規顧客獲得の機会が限定されることを意味します。同じ県内に住む経営者や資産家の大半は、すでに八十二銀行を選択しているのです。
長野銀行が開拓できる市場の余地は、もともと限定的だったのです。さらに重要なのは、営業エリア内の人口構造そのものが変わってきているという点です。長野県全体で人口減少と高齢化が進行しており、これは銀行にとって、貸出先や預金者の基盤そのものが縮小することを意味します。
若年層は県外に流出し、残された人口は高齢化しています。そこで、どうビジネスを拡大するのか。あるいは、どう収益を保つのか。
この問題は、長野銀行だけの問題ではなく、営業エリア内の金融業界全体の構造的課題です。ですが、市場シェアが8%という弱い立場にある長野銀行にとっては、その負荷はより大きいのです。八十二銀行であれば、県内での圧倒的なポジションにより、多少の市場縮小は吸収できます。
しかし、8%のシェアで営業する長野銀行は、市場縮小に対する耐性が低いのです。
2026年1月に企業として消滅|経営統合に吸収される前に知っておきたい現実
2026年1月1日、長野銀行という企業は、法律上の実体を失うことになります。八十二銀行への経営統合により、合併が成立するためです。この時点で、長野銀行の独立した企業体としての歴史は終わりを告げるのです。
この経営統合は、2022年9月の基本合意から始まりました。2023年6月1日には株式交換により、長野銀行が八十二銀行の完全子会社化されています。そして、公式な合併予定日が2026年1月1日なのです。
つまり、現在長野銀行で働く職員は、あと約2年で組織が統合される状況下で仕事をしているということになります。経営統合の公式な理由は、「経営効率の改善」「相乗効果の実現」といった経営用語で説明されています。ですが、その背景にあるのは、長野銀行の単独経営継続の困難さです。
営業エリアの人口減少、市場シェアの小ささ、経費率の高さ(業界平均68%に対して85%)という複合的な経営課題に直面する中で、八十二銀行との統合は、半ば必然的な経営判断だったのです。この決定は、長野銀行の職員にとって何を意味するのか。表面的には「リストラ等は一想定しておりません」という公式コメントがなされています。
しかし、その後の展開を見れば、現実はより複雑です。
店舗統廃合と配置転換の波|「リストラなし」という公式発表の背景にあるもの
150店舗から100店舗未満へ|削減対象地域の職員は転勤か退職か
2023年12月15日、長野銀行は「経営統合に伴う店舗統廃合のお知らせ」を発表しました。現在の約150店舗から、100店舗未満へ削減するというものです。統廃合の基準は、「近隣店舗から距離で10km以内かつ車で15分圏内」という採算性を重視した判断となっています。
この削減計画は、経営統合の「相乗効果」という言葉の中に隠された現実を示しています。同じ県内に存在する複数の支店を統廃合することで、重複を排除し、経営効率を高めるというのが表向きの説明です。ですが、その過程で何が起きるのか。
統廃合の対象地域に配置されていた職員は、転勤か退職かの選択を迫られることになります。「リストラなし」という公式コメントは、技術的には正確かもしれません。雇用契約を一方的に打ち切ることはしない。
ただし、配置転換の辞令が出される。遠い場所への転勤を伝えられる。それでも雇用は継続する。
だから「リストラなし」と言えるのです。しかし、職員の立場から見れば、どうなるのか。地元の支店で10年以上勤務していた職員が、県内の別の地域に転勤を命じられる。
あるいは、上司に「この支店は統廃合対象になる」と告げられる。通勤時間が延びる。新しい人間関係を構築する必要が生じる。
人によっては、新しい配置先での仕事環境が合わず、退職を選択することになるかもしれません。統廃合により、職場の環境は大きく変わるのです。その過程で、特に中堅層以上の職員は、キャリアの再構築を迫られることになる。
たとえ雇用が継続されても、それが本人の人生設計と合致するとは限りません。
上場廃止でステータス喪失|採用ブランド力が急速に低下する局面
2022年4月、長野銀行は東京証券取引所のスタンダード市場へ降格されました。それまで第一部(現プライム市場に相当)に上場していた企業が、より低い市場区分への降格を余儀なくされたのです。この時点で、市場における企業評価の低下が明確に示されました。
そして、2023年6月の完全子会社化に伴い、長野銀行は上場廃止となりました。独立した上場企業としてのステータスを失ったのです。これは、採用力に大きな影響を及ぼします。
かつて、「上場企業である長野銀行」というステータスは、採用市場における一定の魅力を保有していました。安定企業、地元の有力企業というイメージが存在していたのです。ですが、上場廃止後は、その立場は大きく変わります。
「八十二銀行の子会社」「2年後に統合予定」という情報が学生や求職者に伝わった場合、採用ブランド力は急速に低下します。実際、多くの銀行で、経営統合や統廃合のニュースは、採用活動にマイナスの影響をもたらします。優秀な新卒層は、より安定性の高い大手金融機関や他業界を選択するようになるのです。
採用難が加速すれば、現在働いている職員にさらなる負荷がかかることになります。新人の教育・育成業務が増え、営業ノルマとの両立が一層難しくなる可能性があります。上場廃止は、単なる事務的な変化ではなく、企業としてのポジション喪失を示唆しているのです。
「安定」という名目で入行した者たちが、その基盤そのものが揺らいでいる状況を目の当たりにすることになります。
かつて「地元に根ざした銀行」として信頼を集めていた長野銀行。その企業基盤は、営業エリアの人口減少、市場での圧倒的な劣位置、経営効率の低さという複合的な課題に直面していました。そして2026年1月、その企業は法律上消滅することが決まっているのです。
給与は業界平均より低く、ノルマは終わらず、パワハラに晒される職場で、10年以内に60%以上の職員が去っていく。その中で、職員たちは「安定」という名目で入行した企業が、いかに不安定なのかを感じることになるのです。「安定」を求めた選択が、実は最大のリスク保有になっていないだろうか。
この問いが、長野銀行で働く人の心に残る現実なのです。
では、どうすればいいのか?
銀行一筋は大きなリスクを伴う時代です。収入源を多様化することが重要。でも、「どうやっていいのか分からない」AI副業とか聞くけど、具体的に何をすればいいのか。
その気持ち、よく分かります。実は、私はこれまで2000人以上の方の相談に乗ってきました。みなさん、同じような悩みを抱えていました。
「何から始めればいいのか」「自分にできるのか」「失敗したらどうしよう」でも、一歩踏み出した人たちは、確実に変わっていきました。LINEでは、私が実際にやってきた方法を具体的にお伝えしています。押し売りではなく、あなたの状況に合わせた提案をしたい。
まずは話を聞いてみませんか?

LINE@に登録後で登録することも可能です!
メルマガもLINE@もダブルで登録するのがオススメです!
全て同じメルマガの登録フォームとなっておりますので、ご安心くださいませー



