長野銀行はやばいのか｜銀行員の給与と将来性から見える本当のリスク

変わりゆく銀行業界―「安定」の幻想とは

「銀行員は安定している」そう思われていた時代は、もう過去のものかもしれません。みずほ銀行は、今後10年間で1万9000人の削減を計画しています。三井住友銀行も、店舗統廃合を加速させています。

メガバンクでさえ、この状況です。「大きすぎて潰れない」と言われていた存在が、今、大規模なリストラと店舗削減を進めている。これが意味することは何でしょうか。

地方銀行は、さらに厳しい状況に置かれているかもしれません。

長野銀行の従業員が感じる「不安」の正体：2026年1月、企業として消滅する現実

「うちの銀行、今後どうなるんだろう」長野銀行で働く人たちから、こんな声が聞こえます。それもそのはず。2026年1月1日、長野銀行という企業体そのものが消滅することが決まっているからです。

2023年6月、長野銀行は八十二銀行の完全子会社化されました。そして2026年1月、両行は合併します。つまり、70年以上の歴史を持つ「長野銀行」というブランドは、この先、存在しなくなるのです。

「リストラなし」という公式発表。でも、現実はどうなっているでしょう。店舗統廃合は着々と進んでいます。

約150店舗から100店舗未満への削減が計画されている。公式には「お客さまの利便性に配慮しながら」と説明されていますが、現場の従業員たちには、これが何を意味するかはっきり見えています。転勤。

配置転換。昇進枠の縮小。組織再編に伴う不確実性。

「リストラがない」ことと「職場が安定している」ことは、全く別の話なのです。

営業エリアの人口が縮小する中、昇進枠は限定される

ここで目を向けるべきは、長野県そのものの状況です。長野県の人口減少は、全国平均を上回るペースで進んでいます。2000年代から着実に減少し、今も止まりません。

高齢化も同時に進行中。つまり、銀行の主な顧客である現役世代が、営業エリアから流出しているという現実があります。これは不可逆的です。

「新規顧客を開拓すればいい」という発想が出るかもしれませんが、その前提そのものが崩れています。顧客母数が減るのです。営業努力では補いようのない、構造的な問題。

長野銀行が単独では生き残れなかった理由は、ここにあります。そして、その影響は従業員の昇進にも直結します。店舗が150から100に減れば、支店長ポストも、課長ポストも、必然的に減ります。

「頑張れば昇進できる」という従来のキャリアパスは、もう成立しません。同じ努力をしていても、昇進できる人数は限定される。支店の大きさに左右される配置転換も増えます。

「自分の頑張りだけじゃ、どうにもならない」という感覚が、若手社員の中に広がっています。

給与は業界平均より121万円低く、ボーナスも19万円下回る現実

では、給与はどうなっているのか。長野銀行の公式発表では、平均年収は565万円。一見、悪くない数字に見えます。

でも、業界平均は686万円。121万円の開きがあります。さらに、口コミサイトに寄せられた現職者の声を見ると、平均年収は413万円という報告も多い。

公式値と実感の間に、大きなギャップがあるのです。ボーナスも同様です。業界平均110万円に対し、長野銀行は91万円。

年19万円の差は、決して小さくありません。では、昇進したらどうなるのか。新卒の給与は約300万円。

昇進のスピードは「最短で大卒6年目に係長」とされていますが、その時点でようやく450万円程度。その先の昇進は、支店規模や人事評価の透明性に左右されます。ある従業員のコメントです。

「課長職からの昇進について、大きい支店からの職員が昇進するケースが多く、とても公平な人事評価とは思えません。昇進できない理由をフィードバックされるが、納得できるものではない。」給与が低いだけでなく、昇進の道すら曇っている。それなのに、ノルマはあります。ボーナスには「ほとんど反映されない」という声も多い。

頑張っても、その頑張りが報酬に繋がらない感覚が、少なくない従業員の心を蝕んでいます。

ノルマと人間関係が重い：離職率は業界平均の1.7倍

ここまで見ると、「給与が低めな銀行」という見立てで終わってしまいます。でも、本当に注視すべきは、もっと深い問題です。10年以内の離職率を見てください。

男性60.3%、女性70.4%。業界平均は男性34.9%、女性48.6%。長野銀行は、業界平均の1.4倍～1.7倍のスピードで人が辞めていくのです。

なぜなのか。ノルマの圧力があります。預金、投信、保険、個人法人貸金、クレジットカード。

複数の項目を同時に追われる。そして「半年でリセット。0からのスタート」という過酷な仕組み。ノルマが終わらない。

上司からの「度を越したパワハラ」という口コミも絶えません。月間残業時間は平均16.2時間。業界平均11.7時間を上回っています。

営業店では「月20時間程度が通常」という報告も。定時で帰れるのは「内勤の者の中の一部」という現実。でも、もっと根深いのは、組織文化そのものです。

「古い体質」「支店長の言いなり」「パワハラでメンタルを病む先輩が多かった」口コミに共通して出てくるのは、このフレーズです。銀行という組織は、確かに保守的になりやすい。でも長野銀行の場合、それが極度に強い。

昭和の銀行員文化がそのまま残っているような、そんな雰囲気が随所に見られます。その結果、若い人材が定着しません。親の「銀行員は安定」という言葉を信じて入行した若手が、現場で直面する現実とのギャップに揺らぎます。

「このままこの環境にいていいのか」という問いが、消えない。実際、転職会議やOpenWork、キャリコネなど複数のサイトでの総合評価は2.7～3.0点。「ここで長く働きたい」と心から思える職場とは言い難い状況が、数字に表れています。

経営効率の悪さが統合を招いた——単独では競争力喪失

ここまでは、働く人の視点から見てきました。では、経営面はどうなっているのか。長野銀行のOHR（経費率）は85%。

業界平均は68%です。17ポイントの差。つまり、100円の営業収益を得るのに、長野銀行は85円の経費を使っている。

業界平均より、ずっと効率が悪いのです。理由は複合的です。資金利益（利ザヤ）が伸びていない。

手数料収入も「微々たるもの」という指摘が識者からも聞こえます。マイナス金利政策の導入以降、特に顕著になっています。そして、最も象徴的な数字がこれです。

県内シェア8% vs 八十二銀行53%。同じ長野県内でいえば、八十二銀行が圧倒的支配力を持っている状況。長野銀行は、シェアの差で言っても、経営規模でも、競争力を持ちようがないのです。

識者の評価も厳しい。「単独での競争力喪失」「単独での効率化に限界」という言葉が並びます。つまり、経営統合は、事業承継であり、救済的統合でもあるのです。

長野銀行が単独で生き残る道は、すでになかったということ。2026年1月の合併は、その現実を形にしたものに過ぎません。

「安定」と言われた銀行の裏側：あなたのキャリアは本当に守られているのか

ここまで見てきたとき、一つの問いが浮かぶはずです。「銀行は本当に安定なのか？」給与は業界平均より低い。人間関係は過酷。

ノルマは終わらない。昇進の先には、組織再編による不確実性が待っている。営業エリアの人口減少は止められない。

そして何より、企業そのものが2026年1月で消滅する。「安定」という言葉で説明できるでしょうか。新卒で長野銀行に入行した20代の社員が、10年後、20年後、どんなキャリアを描いているのか。

その道筋が見えない。親世代の「銀行員は安定」という価値観は、もう通用しない時代なのです。銀行一筋が、最大のリスクになる可能性。

それが、ここに示されています。長野銀行が「やばい」わけではありません。ですが、「このままでいいのか」という問いは、確かに存在します。

営業エリアの人口減少は変えようがない。経営統合も決まっている。自分で変えられない環境に置かれている現実は、どう向き合うべきなのか。

その問いに直面したとき、多くの従業員が考え始めます。「収入源を増やせたら、こんなに心配しなくて済むのに」「銀行のノルマだけじゃなく、自分で稼ぐ力があったら」その気持ち、よく分かります。

では、どうすればいいのか？

銀行一筋は大きなリスクを伴う時代です。収入源を多様化することが重要。でも、「どうやっていいのか分からない」AI副業とか聞くけど、具体的に何をすればいいのか。

その気持ち、よく分かります。実は、私はこれまで2000人以上の方の相談に乗ってきました。みなさん、同じような悩みを抱えていました。

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