変わりゆく銀行業界―「安定」の幻想とは
「銀行員は安定している」そう思われていた時代は、もう過去のものかもしれません。みずほ銀行は、今後10年間で1万9000人の削減を計画しています。三井住友銀行も、店舗統廃合を加速させています。
メガバンクでさえ、この状況です。「大きすぎて潰れない」と言われていた存在が、今、大規模なリストラと店舗削減を進めている。これが意味することは何でしょうか。
地方銀行は、さらに厳しい状況に置かれているかもしれません。
給与が「銀行員の相場」を大きく下回る現実
山形銀行で働く人の平均年収は、公式資料と実際の報告の間で大きなズレがある。有価証券報告書では平均年収656万円と記載されているが、口コミサイトに投稿された実績値を見ると448万円という報告も珍しくない。この200万円近い開きは、何を意味しているのか。
新卒で入行した場合、初任給は月額220,000円~230,000円程度。年間賞与を含めると年収は280万円程度に留まる。30歳でようやく500万円、という構図が定着している。
一方、同じ金融機関でもメガバンク勤務なら新卒で年収350万円以上が相場だ。営業系職員に限定すると、月給は300万円台で頭打ちになるという報告も複数ある。ここで重要なのは、年功序列という名の時間給であることだ。
新卒230万円から30代500万円への上昇は、決して職能や成果に基づくものではなく、単純に在籍年数に応じた機械的な昇給に過ぎない。週5日、8時間以上働いて時給に換算すれば、特に若年層の給与水準の低さが一層際立つ。山形銀行で働く20代の時給は、コンビニエンスストア勤務と大きく変わらない現実もある。
「安定」という名目で銀行を選んだ人の多くが、入社3~5年の間に給与の低さに直面する。その安定が、本当に見合う対価なのかという疑問が生まれるまでに、さほど時間はかからない。
同年代・他業種と比べて200万円以上の差がついている
同年代の他業種との比較は、より深刻さを浮き彫りにする。営業職の場合、30代前半で年収800万円を超えることも珍しくない業界が存在する。IT企業のエンジニア、コンサルティングファーム、不動産営業などだ。
山形銀行の営業系職員がこれらの業界に転職した場合、給与が200万円以上上がるケースも確認されている。女性職員の待遇はより厳しい。女性の平均年収371万円は、男性平均490万円と年間120万円の差がある。
育児休暇の取得は進んでいるものの、復帰後も定時者と同等のノルマが課せられるため、時短勤務を選択した女性職員の実質時給は著しく低下する。「地域のメインバンク」というブランド力は、給与水準には反映されていない。むしろ県内という限定的な経営環境の中では、給与原資そのものが限界に達しているのではないかと推測される。
新卒230万円、30代でも500万円が天井という構図
この給与体系の問題は、上限の見えやすさにある。 昇進が10年以上の時間軸で設計されている中、営業系職員の給与が300万円台で頭打ちになることを、多くの職員が入社10年以内に気づく。つまり、キャリアの後半30年間、あと20万円程度の昇給しか期待できないという計算が、早期に立ってしまう。
この構図は、若い世代の仕事へのモチベーションを著しく損なう。「10年後、自分の年収がいくらか大体見えている」という状況は、銀行業界でも珍しい。一般的なキャリアプランでは、30代以降のキャリアチェンジや昇進による大幅な給与上昇の可能性が存在するものだが、山形銀行ではそうした上昇余地が限定的だ。
給与と労働時間を考慮すれば、安定という名の低賃金労働に過ぎないのではないか、 という疑問が生まれるのも無理はない。
人口減少地域の地銀という宿命|融資ニーズ激減で給与原資が枯れ始めている
山形銀行が「稼げない」理由は、銀行自体の経営環境にある。営業エリアの山形県の人口動態を見ると、この10年間で約10万人の人口減少が起きている。2010年に117万人だった県人口は、2024年時点で106万人程度まで落ち込んでいる。
さらに深刻なのは、若年女性の流出だ。大学進学や就職で県外に出た若者の帰還率が低く、県内に残る人口は相対的に高齢化している。人口が減少すれば、融資需要も必然的に減る。
山形銀行の主要な融資先は、自動車部品製造、機械加工、農業、食品製造などの業種だが、いずれも人口減少・高齢化の影響を受けやすい産業ばかりだ。工場の自動化、後継者不足による廃業、生産年齢人口の減少に伴う消費の収縮——こうした構造的な問題が、地元企業の事業規模を縮小させ、その結果として銀行への融資需要も減少させている。融資需要が減る=利息収入が減る=給与原資が減る、という必然的な連鎖が発生している。
山形銀行の経営陣は、この問題に対して十分な打ち手を用意できていないと見受けられる。むしろ、経営環境の悪化を認識したからこそ、支店統廃合やブランチ・イン・ブランチ化を進めているのだろう。
山形県の人口が10年間で10万人減少。顧客基盤の縮小は避けられない
この人口減少は、単なる統計数字ではなく、銀行の経営基盤を直撃する現実だ。10万人の人口減少ということは、預金者が10万人減り、融資先企業も減り、その企業の従業員も減るということ。銀行にとって、営業基盤そのものが縮小しているわけである。
さらに消費面でも、高齢化に伴う医療費負担の増加は、個人顧客の預金余力を奪っている。結果として、銀行が扱える資金量が増えにくくなり、利息収入の伸びが望めない構造が固定化しつつある。減り続けるパイの中で、同じ給与を維持することは不可能だ。
その現実が、給与が上がらないという形で、従業員に転嫁されている。
格付けまで下げられた理由|経営統合から目を背ける経営判断
2024年5月、日本格付研究所(JCR)が山形銀行の格付けをA+からAに格下げした。このニュースは、銀行業界では大きな意味を持つ。格付け下げは、その銀行の信用力が低下したことを市場に示す信号だ。
より注目すべきは、その背景にある経営判断だ。全国の地銀再編が加速する中、山形銀行は2020年に「合併の必要性はない」「単独でいける」と明言していた。一方、同じく山形県内の荘内銀行やきらやか銀行は、既に経営統合による効率化を進めている。
格付け下げは、その『単独経営』という判断への市場からの評価を示している。 人口減少地域での単独経営は、規模の経済が働きにくく、DX投資やセキュリティ投資に十分なリソースを割けない。実際、山形銀行は2023年以降、フィッシング詐欺対策に追われ、2024年のDX人材不足を補うために中途採用を募集している。
本来は内部育成すべき人材を、外部から調達せざるを得ない状況は、組織のキャパシティが限界に達していることを示唆している。単独経営を続ける限り、給与を大幅に引き上げる原資は生まれてこない。むしろ経営効率化の圧力は強まり、支店統廃合による人員削減、昇進機会の縮小、といった負のスパイラルが続く可能性が高い。
ノルマだけは一人前なのに、達成しても給与に反映されない矛盾
山形銀行で働く営業系職員の多くが感じるのが、この矛盾だ。新入社員時代から投資信託・生命保険の販売ノルマが課せられる。営業経験が浅い時期でも、ベテラン職員と同等か、場合によってはそれ以上の厳しいノルマを背負わされる。
しかし、ここに大きな落とし穴がある。これらの金融商品の販売手数料は、銀行の利益に対する貢献度に比べて給与への反映が極めて薄い。つまり、ノルマを達成しても、月給や年間賞与にはほぼ反映されない構造になっているのだ。
営業職として成果を上げることと、給与が上がることの間に、ほぼ相関関係がない。この現実は、若い世代のモチベーション喪失の大きな要因だ。「結果を出しても給与が変わらない」という体験を3~5年繰り返せば、働く意欲そのものが減退する。
投資信託・生保の販売ノルマは厳しいが、売上貢献度が薄給に直結しない仕組み
ノルマ主義と低給与の矛盾は、銀行の経営判断の結果だ。本来、成果給制度が機能している組織では、高い売上を上げた職員には、それに見合う報酬が支払われる。しかし山形銀行の賃金体系は、依然として年功序列が骨格をなしており、成果給的な部分は極めて限定的だ。
投資信託や生命保険の販売は、顧客に対する重要な商品提供ではあるものの、銀行の本業である融資利息に比べると、経営への貢献度は相対的に低い。にもかかわらず、個別の営業職員に対しては厳しいノルマが課せられ、未達成時には人事評価に悪影響が出る。成果は問われるが、報酬には反映されない——この非合理性が、職場に蔓延している。
女性営業職の評価基準は、さらに複雑だ。営業成績が出ていても、昇進には昇進枠の制限や、組織文化による見えない障壁が存在する。その結果、「ノルマは達成しているのに、給与も昇進も同期の男性に追い抜かれた」という状況が生まれる。
営業系職員の給与が300万円台で頭打ちになる背景
営業系職員の給与が300万円台で頭打ちになるのは、銀行全体の経営課題と職能等級制度の硬直化の両方が作用している。昇進には10年以上の時間が必要だと述べたが、これは営業系職員にはより顕著だ。本部・企画系への異動を機に昇進機会が増える仕組みになっているため、営業一筋でキャリアを重ねた職員は、昇進によるポストアップの機会そのものが限定的になる。
同時に、支店統廃合に伴う管理職ポストの削減も進んでいる。東京支店は大宮支店と統合され、ブランチ・イン・ブランチ化が加速している。つまり、営業系職員が昇進を目指しても、その上のポストが年々減少しているという現実がある。
ピラミッド型の昇進構造の下部が肥大化する一方で、上部が圧縮されている。ノルマの厳しさと給与の低さは、決してパラドックスではなく、戦略的な経営選択の結果かもしれない。 低い基本給で多くの職員を雇用し、ノルマを課すことで成果を引き出す——この構造は、短期的な利益確保には効果的だが、長期的には組織の競争力を削ぐ。
昇進の遅さと転勤の頻発で、稼ぐ時間を失っている
銀行業界では、昇進が給与を大きく上げるメカニズムだ。課長、部長と昇進するたびに給与は段階的に上がる。しかし山形銀行で働く人が直面するのは、その昇進のチャンスそのものが極めて限定的であるという現実だ。
一般行員から主任への昇進に10年以上を要する。その間、年収の上昇は年20万円程度に止まる。つまり、基本給の上昇ペースが極めて緩やかだ。
課長昇進後にようやく給与が大きく増えるが、その時点で既に40代半ばになっている職員も少なくない。一方で、転勤は頻発する。新卒配属後、3~5年ごとに異動が標準であり、その範囲は山形県内全域に加えて東京・大宮支店(2025年3月統合予定)に及ぶ。
この転勤政策は、独身時代であれば比較的対応可能だが、結婚後、特に配偶者が働いている場合には大きな制約になる。
10年以上かかる主任昇進。その間、年収は年20万円程度の上昇
昇進の遅さそのものが、稼ぐ時間を失わせている。 人生100年時代と言われる中、20代から30代にかけて、給与が大きく上がらない期間が10年以上続くということは、キャリア全体の年収を著しく低下させる。統計的に見ると、給与のピークは大体50代である。
昇進による給与上昇が限定的な場合、その50代までに稼ぎ出すべき年収の総額が圧倒的に少なくなる。年1万円程度の昇給では、10年で10万円程度の上昇に過ぎず、その他の業界と比較すれば、生涯年収では数千万円の差が生じる。さらに、昇進試験や資格取得が「原則3~5年ごと」という固定的なスケジュールになっているため、優秀な職員であっても早期昇進の道が用意されていない。
能力と昇進速度の間に相関がなく、年功序列による昇進が徹底されているわけだ。これは、若い世代の就職先としての魅力を著しく損なう。
「県内全域+東京」への転勤必須で、配偶者との共働き機会も奪われている
転勤の実態も、給与低下要因として機能している。山形県内全域への転勤が必須という人事異動政策は、配偶者の職業選択を制限する。共働き家庭の場合、配偶者が転勤に合わせてキャリアを変更すれば、その家計への影響は大きい。
妻(または夫)が安定した職を手放して転勤に随行した場合、その間の失業期間や給与減少、あるいは転勤先での職探しの手間と心理的負担が発生する。統計的に見ると、転勤に伴う配偶者の離職は、その後の再就職時に給与レベルの低下をもたらすことが知られている。夫婦合算の生涯年収で考えると、この転勤政策による機会損失は計り知れない。
単身赴任を選択した場合には、生活費が倍になる。妻子を残して賃貸を二重で持つことになれば、経済的な負担は著しく増加する。共働きを選択した場合、転勤に随行できず単身赴任か、あるいは一方が退職するかの二者択一を迫られる。
転勤の頻発は、結果として個人・家計の稼ぐ機会を奪っている。 昇進が遅い上に、転勤で配偶者の稼ぐ機会も制限される——この二重の構造が、山形銀行で働く人の生涯年収を圧迫している。この現実は、入社時には想定されていなかったはずだ。
結局のところ、その安定は本当に安定なのか
山形銀行は、確かに「潰れない銀行」だろう。自己資本比率も業界平均水準を維持し、不良債権比率も低く、経営破綻のリスクは低い。しかし、それは経営体としての安定であって、そこで働く人の雇用や給与が安定していることを意味しない。
むしろ逆だ。人口減少地域での限定的な経営基盤の中で、給与は上がりにくく、昇進は遅く、転勤は頻発する。本業利益の圧迫に伴い、支店統廃合による人員調整も今後加速する可能性が高い。
その時に、「単独経営でやっていける」という判断が正しかったのかどうか、問い直される日が来るかもしれない。給与が「銀行員の相場」を下回り、昇進まで10年以上の時間軸で、転勤で家計の稼ぐ機会も奪われる。新卒230万円から30代500万円への軌跡は、決して恵まれたキャリアパスではない。
むしろ、限定的な経営環境の中で、給与原資そのものが枯れ始めている証拠ではないだろうか。入社10年目の職員が「この銀行、本当に安泰なのか」と疑問を持つのは、決して杞憂ではない。むしろ、経営環境の現実を直視した、冷静な問いのはずだ。
では、どうすればいいのか?
銀行一筋は大きなリスクを伴う時代です。収入源を多様化することが重要。でも、「どうやっていいのか分からない」AI副業とか聞くけど、具体的に何をすればいいのか。
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