変わりゆく銀行業界―「安定」の幻想とは
「銀行員は安定している」そう思われていた時代は、もう過去のものかもしれません。みずほ銀行は、今後10年間で1万9000人の削減を計画しています。三井住友銀行も、店舗統廃合を加速させています。
メガバンクでさえ、この状況です。「大きすぎて潰れない」と言われていた存在が、今、大規模なリストラと店舗削減を進めている。これが意味することは何でしょうか。
地方銀行は、さらに厳しい状況に置かれているかもしれません。
「県内シェア56%」の信頼が、実は給与を抑える仕込みになっている
第四北越銀行で働く人が最初に直面する現実は、思ったより昇給が進まないということだ。新潟県内での圧倒的なシェア56%という地位は、その銀行で働く人にとって「安定」の象徴に映るかもしれない。しかし、その安定性こそが、実は給与を抑える仕組みになっているのだ。
県内に強固な営業基盤を持つということは、新しい市場を開拓する必要がない、ということを意味する。既存の顧客関係と地域への信頼があれば、新規営業に莫大な投資をする必要がない。結果として、会社全体の成長性は限定的になり、利益の配分も限定される。
安定とは、成長の停止と表裏一体なのだ。その影響は給与体系に如実に表れる。第四北越銀行の年功序列制度は、新潟県内の他企業と比較すればマシに見えるかもしれない。
だが働く本人の視点で見ると、20代から30代への昇給スピードの落差は驚くほどだ。20代の平均年収が406万円に対し、30代は744万円。わずか10年で330万円の伸びだが、ここからの伸びはほぼ頭打ちになる。
30代で一気に昇給が起きるのは、昇進試験をくぐり抜けた一部の者だけである。その試験に合格できない、あるいは合格しても昇進枠がない人間は、40代50代でも微々たる昇給に留まる。年功序列ジャイアント化とでも呼ぶべき現象だ。
給与は年を追うごとに上昇するが、その上昇幅は加速ではなく減速していく。
昇進が8~10年待ちなのに、店舗統廃合でポストは確実に減っている
第四北越銀行で働く人の多くは、昇進までの待機期間を10年程度と見積もっている。係長レベルへの昇進に8~10年。その先、課長、支店長へと進むには、さらに時間がかかる。
長く勤めることが評価される年功序列制度では、それが当たり前のようにすら感じられる。ところが、その前提が音を立てて崩れ始めている。第四北越銀行は現在、約200ある支店の25%にあたる51支店を統廃合する計画を実行中だ。
2021年の合併時点で既に新潟支店を本店営業部に統合し、その後毎月のように複数支店が「店舗内店舗」という名目で機能統合されている。2026年1月までの統廃合スケジュール表がすでに公開されているほどだ。統廃合が進むことの意味は明白である。
支店が減れば、支店長というポストは確実に減る。営業部長もまた然り。昇進枠が減るのだ。
これまでは「10年待てば昇進できる」という暗黙の了解があった。だが今、その約束は消えつつある。さらに深刻なのは、統廃合の本質である。
これは「効率化」という名目で行われているが、実態は人員削減と同義だ。複数の支店を1つに統合すれば、支店長は1人だけになる。営業職のポストも削減される。
つまり、昇進を目指す中堅層は、昇進枠の競争激化と同時に、競争相手が配置転換や転職で減っていくという矛盾した状況に直面しているのだ。
「安定している」と思わせる年収677万円の落とし穴
第四北越銀行の平均年収677万円という数字は、新潟県内では「高給」と見なされる。県内上場企業の平均551万円と比較すれば、126万円も高い。この数字だけを見ると、「この銀行なら安定して稼げる」という印象を受ける。
だが、その数字には重大な落とし穴がある。有価証券報告書に記載される677万円という平均年収と、実際に働く社員が得ている給与には、200万円以上の乖離がある。OpenWorkなどの口コミサイトには「実際の給与は467万円」という数字が並ぶ。
転職会議では480万円という報告もある。この乖離は何を意味するのか。有価証券報告書の数字には、部長や本部長といった高給取りが含まれている。
一方、口コミサイトに投稿する者の大半は、現場で働く営業職や事務職だ。つまり、表面的な平均年収は、経営層の高給によって引き上げられた「見かけの数字」なのだ。実態に近いのはどちらか。
営業職に限定すれば、平均年齢31歳で年収502万円という数字が目安になる。月収に換算すれば、およそ42万円だ。新潟県内では決して低くはない。
だが、ノルマの達成を求められ、投資信託や保険商品の販売目標に追われながら、月42万円の給与で「十分に稼いでいる」と言えるか。
有価証券報告書と口コミサイトで200万円の乖離:本当の給料は何か
この乖離は偶然ではない。銀行という業界では、新卒採用時点で「総合職」と「一般職」に振り分けられ、給与体系が大きく異なる。総合職(管理職候補)の男性と、一般職(事務職など)の女性では、生涯賃金で2000万円以上の差が生じることもある。
第四北越銀行の女性従業員比率は41.9%と高いが、その多くは一般職である。OpenWorkの口コミデータを職種で見ると、営業職が502万円に対し、事務職は314万円だ。この格差は業界全体の問題ではあるが、第四北越銀行も例外ではない。
さらに複雑なのは、名目上の「平均年収」に含まれる要素だ。月給には幅があり、ボーナスが大きい。第四北越銀行の平均ボーナスは109万円で、業界平均の110万円と同等だが、月給に対するボーナス比率が高い。
つまり、月々の給与は低く抑えられ、ボーナスで補填されている構造になっている。月給が低ければ、住宅ローンの審査も難しくなる。額面年収が高くても、月の手取りが少なければ、生活設計を立てるのは難しい。
「677万円の年収」という数字は、銀行が対外的に発表するための数字に過ぎない。働く人が実感する給与は、その数字より確実に低い。
営業職の実態月収502万円(平均年齢31歳):それでも「稼げない」理由
営業職の平均年収502万円、平均年齢31歳という数字には、さらに深い問題が隠されている。31歳で年収502万円ということは、この世代以降の昇給ペースが極めて緩やかであることを意味する。30代で744万円に達する者もいるが、それは昇進試験に合格した一部だけだ。
大多数の営業職は、30代後半でも550万円~600万円程度に留まる。年功序列制度下では、給与は勤続年数に応じて上昇するとされている。だが、その上昇幅は年々小さくなる。
20代は毎年20万円~30万円の昇給があっても、30代後半からは毎年5万円程度に落ち込む。つまり、40代50代で「高い給与」に見えるのは、過去の蓄積であって、現在進行形での昇給ではないのだ。さらに問題なのは、ノルマとのセットである。
営業職502万円という給与の多くは、達成率に応じた歩合給を含んでいる。給与が「ベース+歩合」の構成ならば、月によって給与が変動する。安定した給与とは言えない。
OpenWorkの口コミには「未達成のプレッシャーが大きい」という声が複数寄せられている。月収42万円程度で、ノルマ達成のプレッシャーに耐えながら働く。その給与水準が「稼げない」と感じられるのは、決して贅沢な願望ではなく、正当な違和感だ。
同じ新潟県内の他企業で同等の給与を得られれば、ノルマも転勤も営業ノルマの達成も求められないかもしれない。その選択肢との比較で、502万円は相対的に「稼げない」ものになるのだ。
新潟県の人口減少速度は全国以上:銀行員の給与も必ず下がる
給与の問題は、実は その銀行の経営基盤に由来している。第四北越銀行の営業エリアである新潟県は、人口減少の速度が全国平均より速い。年0.5~0.8%の人口流出が続き、高齢化率は35%に達している。
全国平均の高齢化率が約29%であることを考えると、新潟県の高齢化は深刻だ。銀行の収益は、貸出金と預金に大きく依存する。人口が減り、高齢化が進めば、借り手は減る。
新しく家を買う人も減れば、事業資金を借りる中小企業も減る。同時に預金者の年齢構成も高齢化し、貯蓄を取り崩す層が増え、新規の大口預金者は現れない。銀行の主要な収入源が、構造的に縮小しているのだ。
その状況下で、銀行が取り得る選択肢は限定的である。収入が減れば、経費も削減しなければならない。人件費は銀行の最大の経費である。
つまり、新潟県の人口減少は、やがて銀行員の給与削減圧力となって現れる。
年0.5~0.8%の人口流出、高齢化率35%:貸出需要は確実に減る
新潟県の人口減少はただの統計数字ではない。それは、銀行の営業地盤の先細りを意味する。年0.5~0.8%の人口流出が続けば、10年で5~8%、20年で10~16%の人口が減少する計算だ。
新潟県の現在の人口230万人から考えると、20年後には190万人台に落ち込む可能性もある。その過程で、地方都市から若年層が流出していく。特に女性20代の県外流出が顕著だ。
それは出生率の低下にもつながり、やがて中学生、高校生の数も減り、新規就業者も減る。つまり、借入需要だけでなく、預金者そのものが減っていくのだ。貸出需要の減少は既に見える。
新潟県の主要産業である農業では、高齢農家の経営規模縮小が進んでいる。農地を持つ高齢者が相続税で大変な思いをし、その結果として田畑が売却される。事業経営者から農地所有者へのシフトで、銀行からの融資需要は確実に減っている。
製造業でも同様だ。新潟県の製造業は食品、機械、金属加工などが中心だが、これらは全国展開する大企業の下請けが多い。親会社が海外生産にシフトすれば、下請け企業も経営規模を縮小するか、閉業に追い込まれる。
銀行からの融資先がなくなるのだ。
消滅可能性都市が県内に複数:営業地盤の先細りは不可避
新潟県内には、民間シンクタンク『日本創成会議』が指定する「消滅可能性都市」の候補が複数ある。これは2040年までに若年女性人口が50%以上減少する可能性がある自治体を指している。その可能性が現実になれば、その地域の経済規模は著しく縮小する。
消滅可能性都市に指定される市町村では、既に人口流出が加速している。商店街は空き店舗が増え、学校は統廃合され、病院の診療科も減らされている。銀行の支店も、その地域では機能を縮小させざるを得ない。
つまり、営業地盤そのものが消えてしまうのだ。第四北越銀行は新潟県内に約200の支店を持つ。だが、その全てが将来的に必要とされるわけではない。
消滅可能性都市に立地する支店は、いずれ廃止を余儀なくされるだろう。顧客数が減れば、支店も不要になるのだ。その過程で起きるのは、単なる支店統廃合ではない。
営業地盤そのものの先細りだ。営業エリアの人口が減れば、たとえ支店の効率が上がったとしても、全体の収入は増えない。むしろ収入の減少に合わせて、給与体系も縮小されていく可能性が高い。
新潟県の人口減少は、銀行員の給与低下を事実上確定させる要因なのだ。
2027年の群馬銀行統合、その前に始まる「第二次店舗統廃合ショック」
第四北越銀行の将来像は、既に決まっている。2027年4月に、群馬銀行と経営統合する予定だ。この統合により、新グループの総資産は約33兆円で、地銀5位級の規模になるとされている。
一見すると、規模拡大による強化に見えるかもしれない。だが、現場で働く人の視点から見ると、事態ははるかに深刻だ。統合前の現在、第四北越銀行は既に大規模な店舗統廃合の真っただ中にある。
その上、2027年の統合を控えて、さらなる統廃合が予定されている。つまり、働く人にとっては、一度の大規模リストラではなく、段階的かつ継続的な組織縮小に直面することになるのだ。
すでに51支店(25%)が統廃合予定:支店長ポスト激減で昇進機会消滅
第四北越銀行は、2021年の旧第四銀行と旧北越銀行の合併時から、統廃合を本格化させている。直近の統廃合実績を見ると、新潟支店、長岡営業部、新潟流通センター支店など、主要支店でさえ次々と統合されている。そして、その規模は拡大する一方だ。
51支店の統廃合という計画は、数字だけを見ると管理面での効率化に見えるかもしれない。だが、組織構成の現実を考えると、その影響ははるかに大きい。支店が51減れば、支店長というポストは51失われる。
営業部長の統廃合も当然含まれている。支店長は、その銀行の中堅から経営層への登竜門だ。支店長になることで初めて「昇進できた」と実感できる職位である。
その数が25%減少するということは、昇進を夢見る営業職にとって、その道が確実に狭まるということだ。20代から30代にかけて10年待った昇進試験。その試験に合格しても、配置先が見つからなければ昇進は実現しない。
あるいは、昇進試験の合格基準そのものが上げられるかもしれない。つまり、より高い成績を取らなければ昇進できない環境になるのだ。支店統廃合の実行期間は2026年1月までとされている。
群馬銀行との統合が2027年4月である。つまり、統合前の数ヶ月間に、最後の大波の統廃合が押し寄せる可能性が高い。その時点で、働く人の配置転換の混乱は極大になるだろう。
転勤、配置転換、職務変更が同時に起きるからだ。
統合後の「さらなるリストラ」:組織は2倍でも、ポストは増えない可能性
群馬銀行との経営統合後、新グループの体制は大きく変わる。現在の第四北越銀行の従業員数は約2270名。群馬銀行の従業員数は公表されていないが、同程度と推測される。
統合後、グループ全体では4000名超の従業員を抱えることになるだろう。だが、組織が2倍になったからといって、管理職のポストが2倍になるわけではない。むしろ、その逆の可能性が高い。
重複する部門は統合され、本部機能は集約される。群馬銀行が上場廃止となることからも、統合の目的は「経営統合」ではなく「実質的な合併」であることが明白だ。2029年1月には、基幹系システムを群馬銀行から第四北越銀行に統一する予定が立てられている。
これは、シスム投資を最小化する(つまり、群馬銀行側のシステムを削減する)という判断であり、事実上、群馬銀行が吸収されることを意味する。吸収合併の過程では、人員調整が不可欠だ。重複する営業機能は統合され、重複する本部機能は削減される。
統合後2~3年で、さらに数百人規模の人員削減が起きる可能性も否定できない。現在、支店統廃合で配置転換を余儀なくされている層が、統合後さらに転勤や配置転換に直面するリスクは十分にある。その過程で、昇進機会はさらに狭まる。
支店長の数は減り、営業部長の数も減る。本部課長などのポストも、経営統合による部門統合で失われるだろう。つまり、働く人にとって2027年の統合は、「規模拡大による成長」ではなく、「競争の激化と昇進機会の消滅」を意味するのだ。
第四北越銀行で働く人が「稼げない」と感じるのは、給与の絶対額が低いからではない。むしろ、新潟県内ではそこそこ高い給与だ。だが、それは見かけの数字であり、昇進枠の狭さ、営業ノルマの厳しさ、そして地域経済の先細りという構造的な問題に直面している。
さらに、統廃合と統合という二つの大波が押し寄せている。支店統廃合は既に進行中であり、群馬銀行統合はその先にある。この流れの中で、安定と思っていたポジションは激動に変わり、昇進機会は消える。
月42万円の給与で、その激動に耐えられるか。それは、個人の努力では解決できない、銀行の経営基盤そのものの問題なのだ。
では、どうすればいいのか?
銀行一筋は大きなリスクを伴う時代です。収入源を多様化することが重要。でも、「どうやっていいのか分からない」AI副業とか聞くけど、具体的に何をすればいいのか。
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