変わりゆく銀行業界―「安定」の幻想とは
「銀行員は安定している」そう思われていた時代は、もう過去のものかもしれません。みずほ銀行は、今後10年間で1万9000人の削減を計画しています。三井住友銀行も、店舗統廃合を加速させています。
メガバンクでさえ、この状況です。「大きすぎて潰れない」と言われていた存在が、今、大規模なリストラと店舗削減を進めている。これが意味することは何でしょうか。
地方銀行は、さらに厳しい状況に置かれているかもしれません。
「県内随一」の肩書で隠された給与の実態——5年間昇給なしの衝撃
熊本県指定金融機関として、県内では圧倒的な信頼を集める肥後銀行。その看板の下で働く人たちが、今、ある違和感を感じ始めている。「県内では給与が高い方」という評判と、実際の手取り間の乖離だ。
新入行員の初任給は26万円。一見、悪くない数字に見えるかもしれない。しかし働く側の実感はまったく異なる。
肥後銀行で働く若手から聞こえてくるのは、「入社から5年間、給与が変わらない」という証言だ。この停滞感がいかに深刻か、改めて数字で見るとより明らかになる。OpenWorkやエン・ジャパンの口コミサイトで確認できる平均年収は459万円~474万円。
一方、同じ熊本県の平均年収は約390万円だから、相対的には高く見える。ただしこれは平均値であり、若手層の実情は異なる。年功序列システムの中では、若い時期の給与上昇が極めて限定的だ。
その結果、同期の中で数字を稼いでいる営業成績優秀者と、平均的なペースで昇進する人との給与差がほぼ開かないという、不可解な状況が生まれている。熊本市での一人暮らしを余儀なくされた若手行員の実質購買力は、見た目の年収よりもはるかに低い。なぜなら、企業文化として「実家からの通勤が推奨される」という暗黙の了解があり、家賃補助が実質的に機能していないからだ。
給与が「低い」という不満の背景には、単なる金額の問題ではなく、生活の現実とのギャップが隠れている。その後、役職(代理職)に昇進してようやく給与が大きく上昇する仕組みになっているが、その昇進が容易ではない。肥後銀行で働く人の多くが、30代前半までは役職につけない現実を目の当たりにしている。
つまり、20代全体と30代前半の数年間は、成績がどうであれ、給与の伸び幅は限定的に留め置かれるということだ。
年功序列という名の「停滞システム」
昇進基準は「資格要件+在位年数」という機械的なルール。これ自体は透明で公平に見えるかもしれないが、現場からは「成績を上げても給与に反映されない」という不満が絶えない。昇進スピードが遅い理由は単純だ。
ポストの数が限られているからだ。支店長や代理職のポストは営業店の数に応じて決まる。営業店が減り続ける中(後述)で、昇進できる層と昇進できない層の二分化が進む。
同じ年代に同じ仕事をしている同期でも、一人は役職につき、もう一人は一般行員のままという現象が拡大している。さらに不透明な側面もある。「資格要件と在位年数を満たしていても、支店長の判断で昇進時期がずれることもある」という複数の証言がある。
規則上は機械的に見えても、現場判断で差がつく。年功序列と公平性の名の下で、実は支店ごとの人事が左右する世界になっているのだ。給与が変わらないまま年を重ねることのコストは、心理的なものも大きい。
自分の成長を感じにくくなる。達成感が損なわれる。特に金融機関では営業ノルマが明確だから、成績を出していながら給与が上がらないという経験は、モチベーション喪失に直結する。
OpenWorkの組織評価で「人事評価の適正感」が3.0/5.0という低い水準にあるのは、こうした構造的な問題が従業員の心に届いているからだ。見かけの透明性と実感の乖離。その違和感が、「この銀行で本当に稼げるのか」という問いを生み出している。
店舗が消える、仕事も消える——統廃合の波が迫る人員削減の危機
肥後銀行で働く人たちが感じている危機感の根底には、別の現実がある。2021年、同行は創立96年の歴史の中で経験したことのない決定を下した。全店舗の約16%にあたる20店舗を統廃合・機能転換するという発表だ。
同時に110人の人員削減が明示された。店舗が消える背景は、営業エリアの人口減少にある。熊本県は人口減少が進行中で、その速度は全国平均を上回る。
特に若年女性の県外流出が加速している。進学で東京圏へ、そのまま就職先も東京という流れは止まっていない。一方、高齢化率は30%を超えて上昇を続けている。
この人口構成の変化は、金融機関にとって致命的だ。新規融資需要が減り、預金も伸びない。貸出先の企業も減少、あるいは海外移転を進める。
農業・食品製造が主力産業の地域では、産業の空洞化も進行中だ。こうした構造的な需要減少に対応するために、肥後銀行は店舗を削減する選択を迫られたのだ。統廃合の対象となった支店では、何が起きているか。
日奈久支店、竜田支店、飽田支店など、複数の営業拠点が消えた。窓口業務で働く非正規職員の雇用が失われ、正社員は他の支店への異動を余儀なくされた。転勤は、若手にとっては「キャリア」とも呼ばれるが、実際には負担である。
特に家族や生活基盤がある世代にとって、強制転勤は生活の質の低下そのものだ。さらに2023年末には、窓口営業時間の短縮も発表された。新町支店、熊本駅前支店などで営業時間が切り詰められている。
時間短縮の名目は「デジタル化への対応」だが、現場の実感は「顧客対応に充てる人手が足りなくなっている」ということだ。ここで注目すべきは、統廃合と人員削減の進み方だ。減る支店に比例して、昇進の道も減る。
営業店数が減れば、支店長のポストも減る。役職(代理職)の数も圧縮される。つまり、「昇進できない」という状況が、単なる競争の結果ではなく、構造的な必然として近づいているということだ。
肥後銀行で働く中堅層の多くが、無意識のうちに感じている不安はここにある。「今、昇進できなかったら、5年後のポストはあるのか」「自分の支店が統廃合対象になったら」という現実的な懸念だ。
残業を削られて「手取りが減った」という矛盾——働き方改革の落とし穴
肥後銀行の給与体系では、基本給と職能給に加えて、手当が大きな役割を果たしている。その中でも、多くの若手にとって重要なのが残業代だ。金融機関の営業店では、記帳業務や営業活動が営業時間を超えることは珍しくない。
その分、手当で補填されていた部分が大きい。ところが、ここ数年で状況が変わった。働き方改革の号令の下、残業時間の削減が厳しく推し進められているのだ。
一見、これは「働く人のためになる改革」に見える。実際、長時間労働は体力的・精神的な負荷が大きいから、削減は必要だ。しかし現場では、別の現実が起きている。
残業を削減された結果、手取りが減ったという現象だ。基本給が上がらないまま残業時間が制限されれば、給与は自動的に減少する。肥後銀行で働く人から「残業ができないルールになって、月々の手取りが減った」という複数の証言がある。
これは、給与が据え置かれたまま、労働時間だけが制限されたということを意味する。なぜこのようなことが起きるのか。その背景には、過去の悲劇がある。
2014年6月、肥後銀行の行員が長時間労働が原因で自殺し、労災認定された事件だ。月間残業250時間超という過酷な労働環境の中で、うつ病を発症した行員は、その後のミスで責任を追及され、投身自殺を選んだ。労基署は企業を書類送検し、この事件は「地銀のブラック体質」を象徴するものとして報道された。
その後、肥後銀行は長時間労働の削減に力を入れるようになった。公式には「月平均残業8.9~17時間」と発表している。一方で、2013年には残業代・休日出勤手当の不払いで約3億円を支給する事態も起きている。
つまり、過労死事件への対応として残業は削減されたが、その対価として基本給や職能給の引き上げが伴わなかったということだ。働き方改革の名の下で、実は雇用側の都合で労働時間だけ制限され、給与は据え置かれた。肥後銀行の人事評価で「法令順守意識」が4.8/5.0という極めて高い数字である一方で、「風通しの良さ」が2.6/5.0、「社員の士気」が2.9/5.0という低さになっているのは、こうした矛盾した施策が組織に蔓延していることを示唆している。
ルール順守には厳格だが、現場の満足度は低い。その落差が、働く人のモチベーション低下に直結しているのだ。
熊本県の人口減少が直撃する融資基盤の脆弱化——地銀の「生き残り戦」がここから始まる
肥後銀行で働く人たちが直面している給与・昇進・雇用の問題の根本原因は、実は経営環境にある。熊本県は人口減少の進行が明確だ。進学・就職時に県外へ出た若者の帰郷は限定的で、特に若年女性の流出は加速している。
一方、高齢化率は30%を超え、全国平均を上回るペースで進行中だ。さらに地方部では消滅可能性自治体が複数存在し、過疎化は深刻化している。こうした人口動態の変化は、銀行の融資基盤をじり貧状態に追い込む。
新規融資先の獲得競争は激化し、貸出先の企業では人員削減やリストラが進む。あるいは製造業の海外移転も相次ぐ。結果として、銀行が融資できる対象が縮小し続けるという構造的な問題が生じるのだ。
実際に肥後銀行の経営状況は悪化している。2024年中間決算では、経常収益が前年同期比9.7%の減収。中間純利益は19.6%もの減益を記録している。
3期ぶりの減収減益だ。特に利息収入が落ち込んでいる。低金利環境の継続で利鞘が圧縮され、同時にそもそもの融資需要も減少しているからだ。
この利益減少の対応として何が起きるか。一つは先述の店舗統廃合・人員削減。もう一つが、デジタル化投資の加速だ。
人手を減らす代わりにシステムに投資する。確かに効率化の観点からは必要な判断かもしれない。だが、その投資費用が利益を圧迫する現実もある。
デジタル化投資とそれに伴う人件費増加で、経営は更に苦しくなっているのだ。ここで注目すべき発言がある。肥後銀行の頭取は、「人口減少が加速していく中で、地方銀行として勝ち残るには経営規模を大きくしないと難しい」と明言している。
これは暗に、「現在の規模では危ない」という危機認識の表れだ。その現れが、2015年の鹿児島銀行との経営統合である。同行と九州フィナンシャルグループを設立し、資本基盤の強化を図った。
そして現在、2024年度から3年間かけて、勘定系システムの統合を予定している。個別システムの保有は、コストと運用効率の面で大きなデメリットがあるからだ。つまり、肥後銀行単独では経営を維持できない可能性が高まっているということである。
九州FG傘下での統合が進行し、将来的にはさらなる統合や事業再編の可能性も否定できない。肥後銀行で働く人たちの雇用条件が、親会社グループの経営判断に大きく左右される時代に入ったのだ。給与が上がらず、ポストが減り、経営基盤が弱まり続ける——これが、肥後銀行で働く人が感じている違和感の構造的な背景である。
「安定」と呼ばれてきた銀行という職場が、実は極めて不安定な基盤の上に成り立っているという現実。それが今、表面化し始めているのだ。
では、どうすればいいのか?
銀行一筋は大きなリスクを伴う時代です。収入源を多様化することが重要。でも、「どうやっていいのか分からない」AI副業とか聞くけど、具体的に何をすればいいのか。
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