変わりゆく銀行業界―「安定」の幻想とは
「銀行員は安定している」そう思われていた時代は、もう過去のものかもしれません。みずほ銀行は、今後10年間で1万9000人の削減を計画しています。三井住友銀行も、店舗統廃合を加速させています。
メガバンクでさえ、この状況です。「大きすぎて潰れない」と言われていた存在が、今、大規模なリストラと店舗削減を進めている。これが意味することは何でしょうか。
地方銀行は、さらに厳しい状況に置かれているかもしれません。
採用10年後に56%が離職:「安定」の中身が急速に変わっている
山口フィナンシャルグループの新卒採用は毎年数百人規模で行われています。でも、ここからが問題なんです。採用10年後の継続雇用割合を見ると、男性43.8%、女性43.3%。
つまり、採用した新卒の約56%が10年以内に離職しているという現実があります。大量採用と大量離職。聞こえは悪いですが、これはこの銀行だけの話ではありません。
ただ、数字が示しているのは、「安定」という名目の下で何かが崩壊しているということです。
新卒採用は多いのに、なぜ人が辞め続けるのか
外から見ると、銀行は「安定した職場」に映ります。給与も福利厚生も悪くない。社宅だってある。
なのに、なぜ人が辞めるのか。その答えは、採用広告と現実のギャップにあります。採用サイトでは「地域で働く価値」「チャレンジできる環境」をうたっています。
でも、新卒が配置されるのは、ほぼ例外なく窓口や事務業務。定型業務の繰り返しです。「このはずじゃなかった」という思いが、入社数年で離職を決めさせるんです。
入社後3年以内の離職が特に多い理由:入社時ギャップの深刻さ
クチコミサイトを見ると、退職理由で「給与の低さ」「やりがいの限定性」「ノルマの重さ」が繰り返し出てきます。特に入社3年以内の声が目立ちます。新卒女性の声:「窓口の業務が定型的であり、やりがいが限定的」「事務職からのキャリアパスが不明確」初心と現実の落差が、ここまで顕著なのは珍しいことではありませんが、山口FGの場合、その落差が給与水準にも直結しているというのが厳しい点です。
主任昇格までは「給与が著しく低い」が実態|有価証券報告書と現場の乖離
OpenWork平均445万円 vs 有価証券報告書732万円の謎
ここが、この銀行を理解するうえで最も重要な部分です。有価証券報告書に記載されている平均年収は732万円。一方、社員の実感値がまとめられているOpenWorkの平均年収は445万円。
その差、なんと287万円。「平均」という言葉ほど嘘くさいものはありません。支店長クラスの高給が全体を大きく引き上げているんです。
若手の大多数は、この445万円さらに下の層にいるということです。
初任給22.5万円のはずが、手取り16万円という衝撃
新卒の初任給は公表値で22.5万円。でも、実際に銀行口座に入ってくるのは約16万円というクチコミが複数存在します。税金、社会保険、さらには寮費や各種控除を差し引くと、手に取るお金は初任給の約71%。
言い方を変えると、初任給という「表の数字」と「実際に使える金」の間に、大きな溝があるということです。若手時代、地元の同年代と比べれば悪くない給与かもしれません。でも、「銀行員」という肩書きの期待値と、実際の手取りのギャップは、確実に心を蝕みます。
30代主任昇格まで、同年代他行より50万~100万円劣る現実
給与が大きく跳ね上がるのは、主任昇格がきっかけです。ただし、到達までが長い。一般的に5~7年で主任昇格しますが、それまでの間、同じ銀行、同じ地銀でも他行と比較すると50万~100万円の差が生じるというデータがあります。
「昇進が遅い」「給与が上がらない」という退職理由は、この実感から来ているんです。時間が経つほど、同期との差が目立ってくる。やりがいで補うにしても、生活の実感として「同じ苦労をしているのに、なぜ…」という疑問は消えません。
3年ごとの転勤と「転勤拒否料」:ライフイベントとの両立が困難になる構造
転勤回避オプションで給与から控除される、国内銀行でも稀な制度
転勤は地方銀行の宿命です。でも、山口FGの制度は、他行と比較しても独特です。転勤を回避する選択肢があります。
ただし、その選択には代償があります。給与から転勤回避オプション料が控除されるというシステムです。国内銀行でも稀な制度だというのが、その異常さを物語っています。
言い方を変えると、「家族のそばにいたい」「子育てに専念したい」という選択は、金銭的ペナルティの対象になるということです。
配偶者・子どもがいても、山口・広島・福岡を3年スパンで異動の現実
転勤の間隔は3年。原則として。山口県全域、広島県全域、福岡県北部という広大なエリアで、3年ごとに異動する。
結婚して、子どもが生まれても、基本的には変わりません。「配置転換は人事のこと。個人の事情は…」という人事部の論理と、「子どもの学校が変わる」「配偶者の仕事を辞めないといけない」という現実が、完全に乖離しています。クチコミに「転勤をしないオプションを選択するとオプション料が給与から引かれる」という記述があります。
これは、「家族を優先させるなら、給与で我慢しろ」というメッセージと、働く人たちには聞こえるわけです。
特に女性キャリアの途絶に直結している背景
管理職女性比率8.2%。業界平均と比較すると、著しく低いです。その理由は、単純です。
転勤と育児の両立が、事実上不可能だからです。育児休暇を取得した女性社員が、復職後すぐに転勤内示を受けるケースも報告されています。「配置転換は均等」という人事原則が、育児という現実に追いつかないんです。
結果として、女性は「キャリアか家族か」という二者択一を迫られ、多くが前者を選んでいません。管理職女性比率の数字の裏側には、こうした構造的な排除が隠れているんです。
営業ノルマと顧客ニーズの矛盾:「お客様第一」と言いながら売上至上主義
毎月ノルマに追われ、精神的負荷が高いという声の増加
「毎月ノルマに追われ、精神的にきついです」5~10年在籍した営業職からの率直な声です。銀行の営業ノルマは、一般企業のそれとは異なります。預金、融資、投資信託、保険商品…。
複数の商品に対して、毎月の目標が設定されます。達成できなければ、支店全体の成績に響く。そして、それが個人評価に影響する。
逃げられない構造です。
不要な商品を勧めさせられる葛藤:営業倫理との衝突
ここが、この銀行で働く人たちの心を最も蝕んでいる部分かもしれません。クチコミ:「お客様第一と言いながらも支店の数字のためにお客様が必要でない商品を勧めさせられる」新卒3~5年の法人営業からの声です。つまり、入社間もない若い社員が、すでにこの矛盾を感じているということです。
「顧客のため」と「ノルマのため」が衝突するとき、多くの銀行員は後者に従わされます。その結果、「こんなことをやってていいのか」という問いが、心の中に残ります。
支店によっては土日休みが確保できない実態
「支店によっては土日休みが確保できない。土日に出勤した場合は平日に振替休日をとることになり…」この文は途中で切れていますが、その余韻が全てを物語っています。土日出勤が常態化している支店が存在するということです。振替休日で対応されるというのは、結局のところ、働く日数は減らされないということです。
支店長で全てが決まる組織文化:パワーハラスメント報告の背景にある構造的問題
「支店のトップの意向で、雰囲気が大きく変わる」という異常性
これは、組織として非常に危険な状態です。支店長のリーダーシップで雰囲気が変わるのは、どの組織でも起こります。ただ、山口FGの場合、その振幅が大きいと報告されています。
「良い支店長がいる支店では風通しが良く、厳しい支店長がいる支店では圧力が強い」という単純な話ではなく、支店長の判断で昇進速度、評価基準、ノルマ設定までもが変わるという話なんです。つまり、同じ銀行にいながら、働く環境が別物になるということ。これは、組織の健全性を問われる状況です。
年功序列が根強いのに、なぜか評価基準が支店ごとにバラバラ
矛盾しています。年功序列で昇進するなら、評価基準は統一されるべきです。ところが、支店ごとにバラバラ。
「この支店では主任昇格が早いけど、別の支店では5年待たされた」という話が起きるんです。これは、個人の努力や成績が報われるかどうかが、支店ガチャ次第だということを意味しています。
風通しの良さスコア2.5:金融業界内でも最低水準
OpenWorkのデータを見ると、風通しの良さスコアは2.5。金融業界の平均が3.0~3.2ということを考えると、この数字は業界内でも明らかに低いです。「支店のトップ次第で全てが変わる」という組織構造は、必然的に、部下から上司への報告・相談のハードルを上げます。
パワーハラスメント報告が相対的に多いのは、この構造に起因しているんです。
営業地域の人口減少は不可逆的:2050年に現在の60%台へ縮小予測
山口県が全国で最も人口減少が進む地域である事実
山口県の人口減少率は全国で最速です。2020年時点で約1406万人だった人口は、2024年には約1335万人。わずか4年で70万人以上減少しています。
2070年には、2020年の60%台まで縮小すると予測されています。つまり、あと45年で、人口が40%減るということです。この事実の前では、「この銀行で安定した人生が送れる」という前提が根本から揺らぎます。
融資需要の急速な減少に、ビジネスモデルが追いついていない
銀行のビジネスモデルは、シンプルです。お金を預かって、貸し出して、その利ざやで生きる。人口が減り、高齢化が進むと、どうなるか。
預金は減り、融資需要も減ります。営業地域の人口が40%減ると、融資先の企業数も減ります。顧客基盤そのものが、不可逆的に縮小するんです。
「営業で頑張れば、どうにかなる」という精神論は、この現実の前では通用しません。
化学工業・石油精製中心の産業構造では、産業転換も困難
山口県の主要産業は、化学工業と石油精製です。これらは、30年前から「成熟産業」と言われ続けています。今、炭素中立という世界的な流れの中で、さらに難しい転換を迫られています。
新しい産業が生まれにくい地域で、既存産業が衰退する。その中で銀行が成長するのは、ほぼ不可能です。「このまま営業地域に依存していいのか」という問いが、経営層にはあるはずです。
ただ、その危機感が、組織全体に浸透しているかどうかは別問題です。
店舗統廃合で加速する配置転換と非正規化:「効率化」の名の下に進む人員調整
2020年だけでもみじ銀行中心に約30店舗を転換
2020年、もみじ銀行を中心に約30店舗が「相談業務特化拠点」に転換されました。つまり、窓口業務が廃止されたということです。その後、コーヒーショップなどの導入も検討されています。
これは表面的には「効率化」ですが、実際には以下を意味しています。
現在の店舗で働く人の配置転換
統廃合地域での顧客流出
残存店舗への業務集約と過負荷化
非正規職への置き換え加速
統廃合地域での顧客喪失と、残存店舗への業務集約による過負荷
統廃合地域の住民が、次にどこに行くか。多くは、地元に残された別支店か、競合他行です。つまり、統廃合による「効率化」は、短期的には数字を改善しても、長期的には営業基盤を削ることになります。
一方、残存店舗は、統廃合された業務まで引き継ぎます。少ない人数で、より多い業務をこなす。この過負荷状態が常態化すると、働く人たちの疲弊は加速します。
さらなる統廃合が不可避な中、転勤対象者の急増という矛盾
人口減少が続く限り、さらなる店舗統廃合は避けられません。ただし、統廃合が進むほど、配置転換の対象者は増えます。つまり、人口減少地域にいながら、転勤の頻度が上がるという矛盾が生じるんです。
「この地域に残りたい」という思いも、叶わない構造になっていきます。
デジタル化への組織的対応の遅れ:2024年10月に「ようやく」専門人材育成パスを新設
中途採用デジタル人材から「旧態依然とした企業」という評価
2025年10月、中途採用されたデジタル人材からこんなコメントが上がりました。「企業風土がマッチしなかった。もともと旧態依然とした企業」在籍3年未満での退職です。デジタル領域の専門人材が、組織の古さに適応できず去っていくということは、この銀行が変わる速度が、市場の変化に追いついていないということを意味しています。
グループ会社4社統合(2025年7月)で見える、組織再構築の途中感
2025年7月、事業支援子会社4社が『YMFGグロースパートナーズ』として統合されます。非金融事業の多角化を進める同時に、こうした統合が行われている。これは、組織の効率化が進んでいる…のではなく、本来すべきことがやっと始まったことを意味しているんです。
他行がすでに数年前から進めていた構造改革を、今ようやく着手している状態です。
スマートフォン・API連携、RPA化などで他行に後れを取る危機感
デジタル化の遅れは、具体的です。スマートフォンアプリの充実度、API連携の範囲、業務プロセスのRPA化の進捗度…。これらで、山口FGは同規模の他地銀より明らかに後れを取っています。
顧客が求める「便利さ」と、提供できるサービスのギャップが拡大しています。2024年10月からデジタル専門人材の育成パスが新設されたというのは、言い換えれば「それまで対応できていなかった」ことの証です。
経営層の混乱が従業員の信頼を蝕んでいる:2021年の新銀行設立プロジェクト混乱から
CEO吉村の独断的な動きと解任という異例の事態
2021年、改革派CEO吉村が、「新銀行設立プロジェクト」をA社と口頭合意します。ただし、役員会への事前相談がなかったんです。つまり、CEOが勝手に決めたということです。
その後、吉村は解任されます。これは、銀行業界でも珍しい事態です。経営層のトップが、組織を無視して独断的に動いた。
そして、その結果が解任。この一連の流れは、従業員にどう映ったか。「経営は不安定だ」「判断基準が不透明だ」という不信感です。
現CEOが「自らの辞任をお待ちしている」と発言:経営層の異常性を示唆
2024年11月2日、現CEO椋梨からこんな発言がありました。「自らの辞任をお待ちしていたが、残念ながらいまだ申し入れは受けていない」この発言の異常性を理解する必要があります。CEOが「自分の辞任を待っている」と公に発言するのは、通常あり得ません。
これは、経営層内の深刻な対立、または経営の混乱を示唆しています。従業員の立場から見ると、「この人たちは本当に信頼できるのか」という疑問が、ぬぐえません。
経営方針の一貫性欠如が、従業員の求心力を低下させている
「新銀行設立」の一件から数年。経営方針がどう変わったのか、外部からは不透明です。「とにかく変えたい」派と「慎重に進めたい」派の対立があるのか。
あるいは、統一された方向性がないのか。いずれにせよ、経営層の迷走が、組織全体の疲弊につながっているという構図が見えます。従業員が「この先、この銀行はどうなるんだろう」という不安を感じるのは、当然です。
女性キャリアの実質的制限:管理職女性比率8.2%の背景にある構造
管理職女性比率8.2%。「女性の活躍推進」という掛け声の下で、この数字は、実は構造的な排除を示唆しているんです。転勤と育児の両立不可、育児復職後の転勤内示、事務職からのキャリアパスの不透明性。
これらが、女性のキャリアを断絶させています。20代女性スコアが3.1と相対的に高いのは、若年層が多く、まだキャリア問題を実感していないからです。年齢が上がり、結婚・出産期を迎えると、多くの女性が組織を離れるんです。
数字に表れない、組織の「女性への無言の圧力」が、ここにあります。
「給与が低い」「年功序列」「昇進が遅い」:退職を決めた人たちが共通して指摘する3つの課題
実力主義スコア2.9:成績を出してもなぜか報われない
実力主義スコア2.9。業界平均が3.0ですから、わずかに下回っています。ただし、その裏側の声を聞くと、もっと深刻です。
「客観的な営業成績等で上位の成績を出しても給与に反映されない」資産運用外交、5~10年在籍した退職者からの声です。つまり、実績を出しても、給与という目に見える形では報われないということです。
支店長の判断で評価が大きく左右される不透明性
給与が反映されない理由は、シンプルです。支店長の判断で、昇進速度も、評価も変わるから。統一された評価基準がないんです。
「これだけやれば、昇進する」という客観的な基準がないために、努力しても報われる保証がありません。「頑張っても意味がない」という諦めは、組織を蝕む最大の毒です。
「このままでいいのか?」という問い自体が、最も重要なキャリア判断
山口フィナンシャルグループが「やばい」わけではありません。ただ、そこで働く人たちが感じている違和感は、極めて現実的なものです。「安定」とされる組織の中で、実は根本的な変化が進行している。
人口減少、デジタル化の遅れ、経営層の混乱、女性キャリアの制限。これらは、個人の頑張りでは解決しない、構造的な問題です。「このままでいいのか?」という問いが、心の奥に残るなら、それは自分の働き方を見直すシグナルかもしれません。
では、どうすればいいのか?
銀行一筋は大きなリスクを伴う時代です。収入源を多様化することが重要。でも、「どうやっていいのか分からない」AI副業とか聞くけど、具体的に何をすればいいのか。
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