変わりゆく銀行業界―「安定」の幻想とは
「銀行員は安定している」そう思われていた時代は、もう過去のものかもしれません。みずほ銀行は、今後10年間で1万9000人の削減を計画しています。三井住友銀行も、店舗統廃合を加速させています。
メガバンクでさえ、この状況です。「大きすぎて潰れない」と言われていた存在が、今、大規模なリストラと店舗削減を進めている。これが意味することは何でしょうか。
地方銀行は、さらに厳しい状況に置かれているかもしれません。「辞めたい」という気持ちは、一度浮かぶと、次第に大きくなっていくものです。東北銀行で働く人たちの中には、その気持ちを抱えながら毎日を過ごしている人がいます。
ただし、それは個人の弱さや適性の問題ではなく、この銀行の構造的な現実が生み出しているものだということを、データと共に示したいと思います。
有価証券報告書539万円、口コミサイト338万円―20代の年収ギャップはなぜ生まれるのか
東北銀行の有価証券報告書に記載された平均年収は539万円です。一見、そこまで悪くない数字に見えます。ところが、同じ銀行について口コミサイト(OpenWork)に寄せられた20代・30代の年収情報を見ると、平均は338万円です。
その差は200万円以上。これは単なる誤差ではなく、一つの重大な現実を示しています。前者の539万円は、40代・50代の管理職層を含めた全体平均です。
一方、後者の338万円は、若手社員の実際の手取りに近い数字です。つまり、東北銀行の給与体系では、年功序列によって40代以降にようやく給与が上がる構造になっているのです。20代の時点では、年収300万円台の世界で働いているということです。
週44時間働く銀行員として月給を逆算すると、時給は約1,600円前後。岩手県の最低賃金は地域によって異なりますが、都市部との比較では決して高くありません。「銀行員」というステータスと、実際の時給のギャップ。
そこに働く若手たちの違和感は当然の反応です。
4年目と9年目で給料がほぼ同じ―昇給の停滞感
さらに深刻なのは、昇給スピードです。東北銀行の働き手からは、「4年目と9年目で給料の差がそこまで大きくない」という声が聞かれます。つまり、5年働いてもほぼ昇給がないということです。
民間企業であれば、5年のキャリアは大きな違いをもたらします。しかし、この銀行ではそうではありません。年功序列が色濃い組織では、昇進がなければ昇給もありません。
主任昇格までは5年以上かかり、その後も係長、課長と進んでいきます。一般職から管理職へのハードルは高く、多くの人が「役席前」で停滞します。つまり、30代で昇進が決まらなければ、その後のキャリアの伸びしろはほぼ限定されてしまうのです。
若手時代に給与が低く、中堅になっても昇給が遅い。この構造の中で、「このまま40年この組織で働くのか」という問い自体が、多くの人の頭をよぎるようになります。同期の中で昇進枠に漏れた人たちの焦燥感。
それは個人的な「頑張り不足」ではなく、組織の構造が生み出す必然的な感情なのです。
時給換算したら県内最低水準―「地域に貢献」では家族は養えない
もう一つの視点が「時給換算」です。東北銀行の若手社員は、建前上は「月平均残業5時間」という恵まれた労働環境にいるとされています。しかし、実際の給与を週44時間の労働で割ると、時給は1,600円程度。
岩手県内の中小企業の事務職の給与と比較しても、銀行員という肩書の割には決して高くはありません。家計簿を付ける若き家計主たちの多くが、「これで家族は養えるか」という不安を抱きます。結婚、子育て、住宅購入。
人生の選択肢が制限される給与水準であることは明白です。「地域に貢献する金融機関」というミッションはすばらしいものですが、その実現を支えるべき従業員の給与は、その貢献度に見合ったものになっていないのです。同じ岩手県内の岩手銀行の平均年収は約630万円。
北日本銀行は約580万円。東北銀行は約540万円。規模が小さいほど給与が低いという現実は、重くのしかかります。
県内3番手という立場は、給与にも明確に反映されているのです。
10年で複数支店が消えた―あなたの配属先は5年後も存在するか
配属面接で、上司は「この支店での勤務を考えてください」と伝えます。しかし、その言葉を信じた先輩たちの多くが、数年後に統廃合の発表を受けることになります。東北銀行は過去10年で複数の支店を統廃合しており、その傾向は今後も続く見込みです。
あなたが配属された支店は、5年後も存在するのか。その確実性はもはやありません。支店統廃合は単なる拠点の移転ではなく、そこで働く人たちの人生設計の変更を意味します。
3年で転勤、5年で統廃合。定期的な異動と不確実性の中で、キャリアと家族の人生が揺さぶられ続けるのです。
岩手県の人口が年1.5%減少、20~39歳女性は更に急速に消滅
なぜ、支店統廃合は続くのか。その根底には、営業エリアの人口動態があります。岩手県の人口は現在約116万人。
1990年代のピークからすでに20万人以上減少しています。そして、その減少速度は加速しています。年間1.5%の人口減少率は、全国平均を大きく上回ります。
更に深刻なのは、20~39歳の女性人口の減少速度です。働き盛りで出産可能な年代の女性が、次々と県外に流出しているのです。つまり、5年後、10年後の岩手県の経済規模は、確実に今より小さくなります。
貸出先は減り、預金者も減り、新規事業の立ち上げ需要もありません。その縮小する市場の中で、東北銀行は生き残る必要があるのです。その選択肢が、支店統廃合です。
採算が取れない支店から順に閉鎖し、規模を縮小して効率化する。合理的な判断ですが、それは働き手にとっては、不確実性と転勤の増加を意味します。
転勤先が「消滅可能性自治体」―家族の人生設計が立たない
東北銀行は岩手県を中心に、宮城県、青森県、秋田県に支店を展開しています。転勤時に配属される先は、営業戦略上の必要性で決まります。その先が、「消滅可能性自治体」に指定されている地域だったらどうするのか。
消滅可能性自治体とは、2040年までに人口が大幅に減少し、社会的・経済的に消滅する可能性がある自治体のことです。岩手県内の多くの自治体がこの指定を受けています。つまり、あなたが転勤で配属されるかもしれない先の中に、20年後に存在しているかどうか確実でない町が含まれているのです。
子どもの学校選び、配偶者の職業選択、実家との距離。家族の人生設計は、転勤という銀行側の都合に左右されます。その転勤先が、経済的に縮小していく地域だと知ったとき、「本当にここで家族を育てるのか」という問いが浮かぶのは、親としての当然の反応ではないでしょうか。
辞めたいと思うのは、あなたが家族を大切にしているからこそなのです。
残業5時間の裏に隠れた負担―資格試験、ノルマ、休憩も取れない現実
東北銀行の働き方改革は一見、成功しているように見えます。月平均残業時間5時間、年間休日120日以上。これらの数字だけを見れば、極めてホワイトな職場です。
ところが、現場の実感はまったく異なります。なぜなら、銀行員の負担は残業だけには現れないからです。公式には「定時退社は19時」となっていますが、その現実は複雑です。
昼休みは業務で返上されることがあり、休日には資格試験の勉強が「当たり前」とされ、実際には業務外の学習に多くの時間が奪われています。
「完全退社は19時」でも昼休憩は返上、休日も勉強が当たり前
銀行業務には、各種資格試験が必須です。宅地建物取引士、証券外務員、簿記検定。これらの資格なくして、銀行員としてのキャリアは成立しません。
新人研修で「これは必須です」と言い渡されたとき、多くの若手は「やるしかない」と覚悟を決めます。しかし、その勉強時間は業務の一部として組み込まれていません。つまり、定時後や休日に自分の時間を削って勉強しなければならないのです。
「残業5時間」という数字は、こうした業務外学習を一切計上していません。実質的な負担は、公式な統計をはるかに上回っています。また、営業拠点での昼休みは、「完全に取れない」という現場の声も聞かれます。
顧客対応や書類作成に追われ、昼食を食べながら仕事をするのが常態化している支店も存在するのです。公式には「ワークライフバランスを推進」していますが、現場では綻びが見えています。
支店によってはノルマ達成を強く求められる―評価に影響する時期もある
東北銀行には「入行3年目までは営業目標を廃止」という制度があります。新人を育成期間として保護する姿勢は理解できます。しかし、4年目以降は話が変わります。
営業ノルマが発生し、その達成が人事評価に直結する時期があります。支店によっては、このノルマ達成を「強く求められる」という評価が聞かれます。つまり、ノルマ未達成が続くと、昇進や配置転換の判断に影響する可能性があるということです。
「完全退社は19時」という美しいルールも、ノルマ達成圧力の前では形骸化します。繁忙期は「定時退社が難しくなる」というのが現実です。月平均5時間の残業という数字は、閑散期と繁忙期の平均です。
繁忙期(年度末、上半期末など)は、この数倍の残業が発生している可能性が高いのです。その実態を知った上で、「残業が少ない」と評価するのは、数字のマジックに過ぎません。
岩手銀行は2.8倍の規模、北日本銀行に給与で大きく水をあけられている
東北銀行は、県内でどのようなポジションにあるのか。その現実を直視することは、この銀行の将来性を考える上で避けられません。岩手銀行の預金残高は約2.6兆円。
東北銀行は約9,200億円。その差は実に2.8倍です。従業員数も岩手銀行は約1,500名に対し、東北銀行は565名。
規模の経済という概念は、中堅地銀には容赦なく作用します。同じく県内の北日本銀行でも、預金残高は約1.4兆円で東北銀行を上回ります。つまり、東北銀行は県内3番手のポジションであり、その立場は明確に給与にも反映されているのです。
県内3番手のポジションで、規模の経済が働かない
規模が小さいほど、企業は効率化を迫られます。固定費の削減、人員の最適化、システム投資の抑制。こうした圧力は、結果的に従業員の給与や待遇に跳ね返ってきます。
東北銀行の場合、その圧力は極めて大きいものです。地域経済が縮小する中で、銀行の貸出先も減少しています。新規融資の案件も減り、手数料収入も伸びません。
限られた収益の中で、給与や投資の配分が制限されるのは自然な流れです。一方、岩手銀行のような大手地銀は、県内シェアの大きさから収益性が高く、それが給与に反映されます。規模の経済が働く企業とそうでない企業の差は、時間とともに拡大します。
東北銀行で働く人たちが感じる「このままでいいのか」という危機感は、こうした客観的な立場の弱さから生まれているのです。
統合話が頓挫、SBI頼み―単独生き残り戦略に明確な道筋がない
2021年7月、東北銀行はフィデアホールディングス(荘内銀行・北都銀行を傘下に持つ)との経営統合に向けた基本合意を発表しました。報道では「来年10月をメド」に統合が実現すると報じられました。その発表を聞いたとき、東北銀行の働き手たちの多くは「これで道筋が見えた」と感じたのではないでしょうか。
しかし、それから3年以上が経った今、統合はいまだ実現していません。その間、東北銀行の経営陣は「単独路線で地域に貢献」というメッセージを発しています。つまり、統合による規模拡大という道筋を手放し、単独での生き残りを選択したということです。
その戦略の依り所となっているのが、SBIホールディングスとの資本業務提携です。2019年8月に提携を発表し、デジタル化やシステム開発でSBIの支援を受ける体制になっています。つまり、東北銀行の単独生き残り戦略は、SBI頼みの部分が大きいのです。
独立系の地銀として生き残り続ける選択肢を取ったことは、潔さもありますが、同時にリスクも大きいのです。地域経済が縮小する中で、明確な拡大戦略を持たない中堅地銀の未来は、不確実なものであることは事実です。 あなたが辞めたいと思うのは、その不確実性に敏感に反応しているからかもしれません。
経営層の選択や戦略的な判断に疑問を持つことは、決して逃げではなく、組織の現実を見つめる目を持っているということなのです。
では、どうすればいいのか?
銀行一筋は大きなリスクを伴う時代です。収入源を多様化することが重要。でも、「どうやっていいのか分からない」AI副業とか聞くけど、具体的に何をすればいいのか。
その気持ち、よく分かります。実は、私はこれまで2000人以上の方の相談に乗ってきました。みなさん、同じような悩みを抱えていました。
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