変わりゆく銀行業界―「安定」の幻想とは
「銀行員は安定している」そう思われていた時代は、もう過去のものかもしれません。みずほ銀行は、今後10年間で1万9000人の削減を計画しています。三井住友銀行も、店舗統廃合を加速させています。
メガバンクでさえ、この状況です。「大きすぎて潰れない」と言われていた存在が、今、大規模なリストラと店舗削減を進めている。これが意味することは何でしょうか。
地方銀行は、さらに厳しい状況に置かれているかもしれません。
有価証券報告書では523万円、でも手取りは月14万円―給与の現実と時給換算したら見えた絶望
筑邦銀行の有価証券報告書に記載された平均年収は523万円です。一見すると、それなりの水準に見えます。ただ、その数字の背景には、実態とのズレが隠されています。
働く人たちの口コミから見えてくるのは、まったく異なる現実です。新卒3年目の行員で月給14万円(総額)、残業代を含めてようやく月21~22万円という報告があります。ボーナスが年2回で手取り38万円程度という年の人もいます。
これを年間で計算すると、手取りは200万円台になる計算です。なぜこのようなズレが生じるのか。有価証券報告書の平均年収には、支店長や役職者が含まれています。
一方、口コミサイトの回答者は若手~中堅層が中心です。その層の実態を知る必要があります。実は、この給与水準の低さは、単なる「地方銀行だから」では説明できません。
福岡県内の大手地銀である福岡銀行の平均年収は約650万円。西日本シティ銀行は約620万円です。筑邦銀行の523万円は、それらより100万円以上低い水準です。
同じ福岡県内で働いているのに、この差は何を意味するのか。それは、規模の差による経営基盤の弱さをそのまま反映しています。
年収200万円台という新卒3年目の現実
「給与から天引きされるものが多すぎて、手取りが他の会社員よりも少ない」という口コミがあります。銀行の福利厚生制度には、共済組合費、持株会、社宅手当など、様々な天引きが含まれます。それ自体は悪いことではありませんが、額面と手取りの落差の大きさが現実です。
新卒3年目で月給14万円という金額を、時給に換算してみてください。月160時間働いたとして、時給は875円です。東京のコンビニの最低賃金より低いかもしれません。
これは、銀行業界全体が入社5年目までは給与が上がりにくい構造を持っているからです。ただ、筑邦銀行の場合、その期間が他の地銀より長いという指摘もあります。「役職などに就かないと給与は全然上がりません」という声からは、若手層が昇進するまでの間、何年も同じ給与で働き続ける現実が伝わってきます。
辞めたいと思うのは、あなたが浪費家だからじゃない。月14万円の手取りで一人暮らしをすれば、貯金などできません。実家暮らしをしていない若手行員は、特定総合職であっても「この給与では厳しい」と感じるのが当然です。
その感覚は、正当な現実感覚です。
ボーナス手取り38万円では何ができるのか
ボーナス手取り38万円という金額を見ると、「年2回あるから悪くない」と思うかもしれません。しかし、この金額が何を意味するかを考えてみてください。年間のボーナス(手取り)は76万円です。
月給と合わせても、年間手取りは200万円台中盤に収まります。20代の一人暮らしなら、家賃・食費・光熱費・通信費で月10万円程度かかります。年間120万円です。
残りは80万円。ここから服飾費、医療費、冠婚葬祭費が出ます。20代が「自分の人生のために何かをする」という余裕は、ほぼ生まれません。
結婚したら、子どもが生まれたら、この給与では何ができるのか。その不安が心のどこかにあって、「このままでいいのか」という問い続けるのです。入社5年目までは給与が上がらないというのは、筑邦銀行に限った話ではありません。
しかし、他の地銀では5年後、その後の昇進で給与が大きく上がります。筑邦銀行の場合、昇進のプロセスそのものが長いため、30代でも「期待した給与に達していない」という感覚が残るのです。
10年係長、15年代理、支店長は何人?―535人の中で昇進の椅子取りゲームが始まっている
筑邦銀行の従業員数は535名(2025年3月31日現在)です。この数字の意味を考えてください。支店数は44店舗です。
店舗あたり平均約12名です。昇進のプロセスは、入社後10年で係長、15年で代理という標準的なルートが引かれています。これは、20代後半から30代前半にかけて、同期入社の何十人が、ほぼ同じ職階にいることを意味します。
その中から、毎年何人が次の職階へ昇進するのか。その数は限定的です。なぜなら、ポストの数は決まっているからです。
展開エリアは福岡県南部(久留米市中心)、佐賀県鳥栖市、大分県日田市、北九州市、福岡市です。規模の小さい地方銀行が広いエリアに展開しているため、各地域の支店は小規模です。支店長の数は限定的。
代理の数も限定的。その限定的なポストを、同期や先輩後輩が競い合っています。年功序列が基本のため、年が若いうちは昇進が難しく、ある年齢になると一気に昇進が加速します。
しかし、その加速も全員に訪れるわけではありません。椅子取りゲームの椅子は、定員分しかないからです。
4大卒以外は昇進が「基本的に難しい」という告白
「基本的に年功序列、学歴重視です。4大卒以外の昇進昇格は基本的に難しい」という口コミが、複数の年度で繰り返されています。これは、偶然ではなく、組織文化として定着している可能性を示唆しています。4年制大学卒業以外というのは、短大卒、高卒、専門学校卒などを指します。
銀行業界は、学歴による採用区分が明確です。ただ、昇進に関しても、その区分がそのまま影響するというのは、近年の企業では珍しくなっています。多くの企業では、採用時の学歴と昇進は別軸で評価されます。
しかし、筑邦銀行では「基本的に難しい」というのは、制度的な壁があるのではなく、慣例や人事評価の中に組み込まれている可能性があります。これを読んでいるあなたが短大卒や高卒だったら、入社時点で「ここまでが限界かもしれない」という天井を感じています。同期の4大卒は、同じ仕事をしていても、昇進のレールが違う。
その現実を毎日見ながら働くことの心理的負担は、給与の低さと同等かもしれません。昇進が限定的なのは、誰にとっても同じだ。しかし、学歴で最初から限定される経験は、別の種類の辛さを生みます。
女性の管理職比率10.5%―役席までは行けても、その先は別の世界
筑邦銀行の女性管理職比率は10.5%(2025年8月時点、女性の活躍推進企業データベース)です。役員・管理職全体では、女性の割合がほぼ1割という計算です。口コミからは「女性でも役席までには少なくともなれます」という前向きな評価と「次長や支店長クラスには女性は少ない」という現実の矛盾が見えます。
役席というのは、主任や係長など、ポストの数が多い職階です。そこまでは女性も到達する。しかし、その先の代理・支店長となると、数が極めて少ないのです。
なぜか。管理職層に女性が少ないから、その上にいくはずの女性のパイプラインも細いのです。男性社会が根強く残っているため、女性の昇進昇格は基本的に多くないという評価は、言い換えれば「女性であることが、昇進の障害になる」ということです。
また、昇進には転勤が伴うことが多いです。筑邦銀行は「福岡県内、北部九州中心」で転勤範囲が限定されていると公式にアピールしています。しかし、妊娠・育児中の女性にとって、転勤は人生の選択肢を狭めます。
転勤を受けられない期間が生じ、その間のキャリア形成が滞ります。その後、キャリアを再開しようとしても、同期の男性との差は埋まりません。このような構造的な制約が、女性の管理職進出を阻んでいる可能性があります。
久留米市の人口30万人、でも20年後は?―経営統合と店舗統廃合の不安が、あなたの転勤先を消す
久留米市の人口は約30万人(2020年国勢調査)です。筑邦銀行の営業基盤であり、本店所在地でもあります。ただ、「30万人」という数字の背景には、人口減少の流れがあります。
福岡県全体では人口増加が見込まれていますが、福岡県南部(久留米市中心)では減少傾向にあります。特に、佐賀県鳥栖市、大分県日田市など、営業エリアの一部は明らかな人口減少地域です。営業エリアの中でも、八女市、うきは市、朝倉市などは「消滅可能性都市」として国から指摘を受けています。
これは、2050年時点で人口が大幅に減少し、自治体の継続が危機に瀕する可能性がある都市を指します。そうした都市が営業エリアの50%以上を占めています。これが意味することは何か。
それは、貸出先が減る、預金が減る、そして支店が減るということです。
消滅可能性都市が営業エリアの50%以上―貸出先が減り、預金が減り、そして人員が減る
人口が減ると、企業も減ります。特に地場の中小企業は、若い人材が流出すれば、経営の継続が難しくなります。銀行の貸出先である企業が減れば、貸出残高が減ります。
貸出残高が減れば、銀行の利益も減ります。同時に、個人の預金も減ります。若い世代が都市部に流出すれば、地元に残る高齢者が増え、預金者の年齢が上がります。
高齢者は、新規の投資や融資が減り、むしろ貯蓄を取り崩す傾向にあります。預金残高が増える要因は少ないのです。2025年3月期、筑邦銀行の経常利益は前年比31.9%の大幅減益となりました。
純利益も7%減です。債券売却損がかさみ、収益が悪化しています。この背景には、低金利環境下での金利収入の減少と、営業基盤の経済環境の悪化が絡んでいます。
営業エリアの人口減少が加速すれば、この傾向は加速するでしょう。そしてここからが重要です。利益が減れば、人員も減ります。
2025年3月時点で535名の従業員がいますが、この数字が今後維持されるという保証はありません。事実、店舗統廃合の動きは既に始まっています。2024年9月には、姪浜支店が西福岡支店に移転・改称されています。
これは統廃合というより、地域の再開発に応じた移転ですが、店舗戦略が変わりつつあることを示唆しています。
SBIとの提携は救世主か、それとも前触れか
2019年、筑邦銀行はSBIホールディングスと資本業務提携を締結しました。公式なコメントでは「デジタル化やシステム刷新の支援」を受けるとされています。これは、ポジティブに見えます。
大手企業からの支援を受け、経営基盤を強化できるという文脈です。しかし、金融業界の再編の流れを知っている人には、別の読み方ができます。金融庁は、地方銀行に対して「経営の統合・再編を進めるべき」というメッセージを発し続けています。
実際、金融庁が「再編を強く促す地銀」として指摘した銀行リストが、2020年に報道されました。そのリストには、筑邦銀行の名前が含まれていました。同じリストに、佐賀共栄銀行、佐賀銀行、大分銀行も含まれていました。
SBIとの提携は、単なる「技術支援」ではなく、将来的な経営統合に向けた第一段階である可能性があります。 これ自体が悪いわけではありません。統合により、より大きな経営基盤を得られるかもしれません。
しかし、統合の過程では、必ず重複部門の整理が生じます。人員の削減、支店の統廃合、給与体系の変更などです。あなたの支店が、その対象になるかもしれません。
あなたの職階が、新しい組織で必要とされるかもしれません。その不確実性が、現在の仕事に対する不安を増幅させています。
人が減り続けるのに、ノルマと担当先は増える―「19時退社」の裏側で何が起きているのか
筑邦銀行の労働時間は、データ上は短いです。OpenWorkの報告では月間14.9時間の残業時間が記載されています。土日祝日の出勤はほぼなく、有給休暇消化率も74.6%と、地銀平均並みです。
一見すると、「ホワイト企業」に見えます。しかし、口コミには「人はどんどん減るが、ノルマや担当先はどんどん増えていく。しかし、残業はあまりできない。結果仕事が終わらない」という記述があります。これは、データには反映されない現実です。
なぜか。仕事が終わっていないのに、勤務時間内に終わらせようとするからです。その結果、何が起きるか。
仕事を自宅に持ち帰る。昼休みを取らずに対応する。朝早く出社して対応する。
こうした「見えない労働」が生じるのです。
投信・保険・住宅ローン・カードローン―毎月のセールスノルマが達成不可能になっていく理由
銀行の営業職には、複数のセールスノルマが課せられています。投信(投資信託)、保険、住宅ローン、カードローン、この4つの商品それぞれに月間のノルマが存在します。これらは「営業職の当たり前」と言えば、そうですが、ノルマの水準が組織全体で達成不可能になると、構造的な問題が生じます。
「ノルマが多い。なかなか大手の金融機関には勝てないところも多いので、人間関係の構築が鍵になってくる」という口コミから、筑邦銀行の営業が、大手金融機関との競争で不利な立場にあることが読み取れます。福岡銀行や西日本シティ銀行、そしてメガバンクの支店が、同じ営業エリアにいます。規模で劣る筑邦銀行が、同じノルマを達成しようとするには、より深い顧客関係が必要です。
しかし、人手不足の中では、その関係構築の時間を取ることができません。結果として、ノルマは達成できず、その達成できなさがストレスになります。給与は月14万円だった時代と同じなのに、ノルマの難度は上がっていく。
その不均衡が、心を削ります。
「毎月誰かしらが辞めていく」という支店の日常
「毎月誰かしらは辞めていく状況だった」という口コミは、複数の年度で報告されています。これは、何を意味するか。それは、組織全体に「この仕事は続けられない」という認識が共有されているということです。
人が辞めると、その人の仕事は誰かに配分されます。通常は、その職階の複数人で分担されます。しかし、既に人員が不足している状態では、分担の余裕がありません。
結果として、一人の業務量が増えます。業務量が増えれば、達成できるノルマも減ります。ノルマが達成できなければ、ストレスが増えます。
ストレスが増えれば、辞める人が出ます。この循環が、月単位で起きているのです。「福利厚生はあるものの、実際に使える状況ではなく、離職率も高い」という評価は、表面的な待遇の良さと、実際の働きやすさが乖離しているということです。
保育料補助制度があっても、残業代は出ない。育児休業から戻っても、人手不足で負担が変わらない。有給休暇は取得できても、心理的なプレッシャーは変わらない。
こうした乖離が、「このままではいられない」という判断を促しているのです。あなたが「辞めたい」と思うのは、あなたが甘えているからではない。その組織の中で、毎月誰かしらが同じ判断をしているからです。
つまり、その判断は正当性を持っているということです。
記事をここまで読んでいるあなたは、おそらく既に「辞めたい」という気持ちを持っています。あるいは、「本当に辞めていいのか」と迷っています。その迷いや葛藤は、決して弱さではありません。
それは、組織の構造的な問題に対して、あなたが健全に反応しているということなのです。
では、どうすればいいのか?
銀行一筋は大きなリスクを伴う時代です。収入源を多様化することが重要。でも、「どうやっていいのか分からない」AI副業とか聞くけど、具体的に何をすればいいのか。
その気持ち、よく分かります。実は、私はこれまで2000人以上の方の相談に乗ってきました。みなさん、同じような悩みを抱えていました。
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